万を越える妄執とただ一つの願い2
「ぺぺさん、起きてください」
ペチペチ
「……」
ダメです、全く起きる気配がありません。そろそろ1時間は経つのですが……
「そいつ、多分何しても起きないぞ。自発的に起きるのを待つしかないね」
「マジですか」
くぅ、こんなことなら殴り倒すんじゃなかったですね。精々ナリアの捕食で済ませておくべきでした。
「……いい提案が、ある」
「ホント? どうするの」
「……同じショックで、起こす」
同じショック、同じショック……ほほーん?
……。
「モーニングコールプレゼントしちゃうぞっ♡」
「ぐべぇっっ!!?!!!??!」
よし、起きました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「では寝坊助リス君も起きたことですし、皆さんには少しやっていただきたいことがあります」
「やって欲しいこと、ですか?」
「……何を、させるつもり?」
そんなに警戒しなくても。私だって傷つくときは傷つくんですよ?
「500問テスト。トーカ、ラピス、マイカにはやって貰ったことあるよね?」
「500問テスト……なんじゃそりゃ?」
「テストとか聞くの高校以来だな」
500問テスト。
私が周りの人間に時たま仕掛ける心理テストみたいなものです。何のためにこんなことをするのかはやってみてのお楽しみってとこですね。
「え、またあれやるの!?」
えぇやりますとも。情報はナマモノ、鮮度が大事ですからね。
「では第1問。あなたの前には分かれ道があります。どちらに行きますか?」
「「「「「ひみみぎだぎみひだみりりぎ」」」」」
えーっと…ふむふむなるほど。
トーカ…右
ラピス…右
マイカ…左
ぺぺさん…右
ロンチーノさん…左
っと。
「よく今の聞き取れるな。聖徳太子かよ」
「お姉ちゃんだからね!」
「先輩ですから!」
「……コロナ、だから」
「あっはい」
「…はい、では第500問」
「な、長かった……」
「すみません、ロンチーノさん。エイブラハム戦に向けて必要になるかもしれないので」
かなりの数の液体窒素やら何やら準備しましたが、やれるだけのことはやっておくべきですからね。
しかし500問テストが当日になるのは誤算でした。まさか前日までに全員が揃う日がないなんて。個別でやっても良かったのですが……効率が悪いですからね。
「気を取り直して第500問。あなたは銃を持っており、現在目の前で猟奇殺人犯が暴れています。どうしますか?」
全員の回答
トーカ…投降を呼びかける
ラピス…逃走
マイカ…威嚇射撃
ぺぺ…犯人を撃つ
ロンチーノ…110番
「はい、お疲れ様でした」
「え、最後の何で俺しか通報しないの? マトモなの俺だけ?」
私は…犯人の足か利き腕を撃ちますかね。最近丁度銃撃の練習もしましたし、多分外さな…いえ、現実の身体じゃあ反動が受けきれない上に逃げる体力もないので通報ですか。
「安心してください、ロンチーノさん。私もちゃんと通報します」
「……コロナと同意見だと自分がマトモなのか心配になってくるんだけど」
最近思うのですが、私ってそんなに常識ないように思われてるのでしょうか? 皆さん私のことを狂人扱いし過ぎでは?
「……とかお姉ちゃん考えてそう」
「ですね!」
「…だね」
「だな」
「だね」
解せぬ。
と、丁度ここでエイブラハム'sラボに着きました。地味に遠いんですよねここ。モブモンスターとの戦闘を挟みのんびり雑談しながらだったとはいえ、4時間かかりました。
「さて、皆さん準備はいいですね? では行きましょう!」
「「「「おー!」」」」
よし、皆さんもやる気は十分のようですね。
「おっ、イベントも始まった。メニューから中継で見られるんだな」
ぺぺさんは全く聞いてませんが。
話を聞くよう説得(物理)がお望み?
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