第350話会話
ハルジオンはスチュアートさんに馬を出してもらい町へと向かった。
「スチュアートさん…クリス様はその…私を連れてきた時どのような感じでしたか?」
ハルジオンはどうしても気になっていた事をスチュアートさんに聞いてみた。
あの時ベッドで感じた温もり…それに走り去ったあの背中…あの姿を思い出すとなぜが胸が熱くなった。
ハルジオンはこの温もりが何か知りたかった。
「そうですね…クリス様はとても気をつかっていましたよ。ハルジオン様を傷つけないように…」
「傷つく?」
「自分が抱いていたらハルジオン様が嫌がるのでは…とも言ってましたね」
スチュアートさんの言葉に目を見開く
「そんな事思うわけないのに!」
「ですが…クリス様はローズ様の弟君ですからね。一筋縄ではいかないかと…それと…」
スチュアートさんが笑いながらハルジオンを見つめた。
「それと?なんですか」
「あの時ハルジオン様はクリス様にしがみついて離れなかったのですよ」
「え?えーーー!」
ハルジオンは顔を真っ赤にして大声を出した。
「ハルジオン様!」
スチュアートは急な大声に思わずハルジオンの口を塞ぐ!
「馬が驚いてしまうので…もう少し声を抑えて…」
コクコク!
ハルジオンが頷くのを確認してスチュアートは手を離した。
「す、すみません!取り乱しまして…どうも幻聴が聞こえて、私がクリス様にしがみついたとか聞こえてしまいました」
「えっと…幻聴ではなく事実ですね」
「うっそ…ど、どうしましょうスチュアートさん!私そんな事を?しかも意識もないのに…どんだけクリス様が好きなのよ!」
ハルジオンはパニックになって早口にまくし立てる。
「クリス様もハルジオン様の様に素直になれればよろしいのですが…」
スチュアートさんの言葉が聞こえないくらいハルジオンはひとり慌てふためいていた。
スチュアートさんのおかげで町に着くと…
「私も一緒にクリス様を探しましょうか?」
スチュアートさんの提案にハルジオンを首を振る。
「いえ、送っていただいただけでありがたいです!スチュアートさんもお仕事がまだありますから戻ってください!もし、クリス様が見つけられなくても一人で戻れますから」
ハルジオンは大丈夫だと笑顔でスチュアートさんにお礼を言った。
「わかりました。クリス様の馬が厩舎にありませんでしたので出かけているのは間違いないかと…馬を目印にさ探せば案外早く見つかるでしょう」
「そうですね!そうします」
ハルジオンは帰っていくスチュアートさんに手を振って見送ると…
「よし!」
クリス様を探しに町に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます