第200話デート
ずんずんと歩き出すローズとクリスの後を追いかけるように進むスチュアートとバルトは…
「おい、大丈夫なのか?あいつらは」
バルトが心配するとスチュアートはチラッと後ろを振り返る。
「まぁ数名こちらにも兵士達がいますから大丈夫でしょう…ビル様達が森からもう一度探し出すとおっしゃってましたから、あちらで見つかってくれるのが一番いいのですが…」
しかしスチュアートの表情は晴れない…
「なんだ?まだ何かあるのか?」
「いえ…どうもあの二人…トラブルを呼び込みそうで、嫌な予感が致します」
スチュアートの言葉にバルトは酷く同意するように頷いた。
ローズ達が城下を隈無く歩いていると…人集りが出来ているところがあった。
「何かあったのでしょうか…」
クリスが人の間から覗き込みとするが前を女性陣が阻み何も確認出来ない。
「す、すごい力です…ビクともしない…」
クリスがビクとも動かない女性達に驚いて後ずさる…
どうもキャーキャー騒いでる様子から誰か凄い人が来ているようだった。
「まさか…」
スチュアートさんが眉間にシワを寄せる…
「スチュアートさん何か知ってるんですか?」
ローズがスチュアートさんをみると…人溜まりから歓声がおきる!
「きゃあ~!」
「こっち見てください!」
「ロイ様!」
「ロイ王子ー!」
町娘から商家の娘に令嬢達も混ざって黄色い声をあげていた。
「ん?ロイ?」
「王子?」
ローズとクリスが顔を見合わせる。
「隣の方は誰かしら…綺麗な方ね」
「婚約者かしら…あんなに仲良さそうに腕を組んでいらしゃるもの」
「いいなぁ~」
ロイと令嬢が腕を組んで歩く姿にため息が漏れる。
「婚約者?あれロイ王子の婚約者ってもう決まったんですか?」
「い、いえ!そのような事は決して有りませんよ!きっとローズ様と同じく婚約者候補の方かと…」
スチュアートさんが珍しい慌てて説明すると…
「えっ…婚約者候補?あと残ってるのって…」
ローズは皆の視線の先を見ると人の隙間が偶然出来てその間からロイ王子が見えた…
笑って隣で腕を組み歩く令嬢の姿を確認する。
「ああ…ジュリア様ですか」
そうだ、確かに残っているのはキャシーとジュリア様だけだった…
「こんな方まで来ていたのですね」
ローズがボソッと声に出すと
「表向きはもう捕まった事になっていますから…」
「そうですね…王子の婚約者候補決めも大切な仕事ですから」
「でもさー、まだ斥候が本当に捕まったのかわかっていないのにこんなに堂々と王子が城下歩いていいわけ?」
クリスが納得できないと顔を顰める。
「きっと何か事情があるのよ」
ローズが笑うと、クリスが元気のない姉の表情を心配する。
「姉さん…大丈夫?」
顔を覗き込むと
「私?大丈夫よ、それにしてもロイ王子…よく見えないけどジュリア様の表情を見ると楽しんでるようね」
ローズはふっと息を吐くと
「疲れてると思ってたけど大丈夫そうね。ロイ王子はやっぱりこうやって出かける方が良かったのかな…」
昨日の自分の気遣いは余計なお世話だったのかも知れないとローズは目を逸らした。
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