第135話果実のタルト

王妃様達が美味しそうにお菓子を食べる中…納得できない面々がフォークを置くと


「確かに美味しいがなんだか婚約者候補の令嬢のお茶会にしては…手作りばかりで貧乏臭くないか?」


「確かに…一切金がかかってないものばかりですね」


ローズのもてなしに少し難色を示す。


しかしローズはそんな事に気が付かずにメインのケーキを用意させる…


それをみたロイは待ってましたとばかりに顔を輝かせた!


「お待たせしました。こちら最後のデザートの果実のタルトです」


ジェシカが一人一人の席にケーキを用意していくと…


「どうせこれもあなたの手作りなんでしょう?」


「最後まで手作りとは…いやはや…」


運ばれたケーキをみて呆れてフォークさえ握ろうとしない人もいた…


しかしタルトに乗る綺麗な色の果実を見つめていたレイン様が…


「これはなんの果実だ?私も見た事がないなぁ…」


なんの果実かわからずにロドムに聞くと


「こちら…国の大樹になった黄金の実のタルトになります…申し訳ございません。どこを調べても果実の名前がわからずに…しかし毒味はきちんとしておりますし、スチュアート様からもお出しする許可を貰っております」


ロドムが事前に調べていたことを説明すると…


「ちょっと待て…今なんと言った?国の大樹だと…」


「大樹とはこの庭園の奥の森にあるあの大樹か?」


フリード様も驚いて聞くとロドムもジェシカも頷く。


「あれに実がなるなど聞いた事がないぞ…」


レイン様がそう言うが


「いや…かなり昔に一度だけ実を付けたと聞いた事がある…目にするのは私も初めてだが…」


いつもニコニコとしているフリード様も顔色を変える…


国王陛下と前国王陛下の話にみな目の前のタルトに注目すると…


「まぁ食べてみましょう、もうこの香りがたまりません…」


ロイが皆に笑いかけると一番最初にタルトに手をつけた…


皆がロイ王子の反応に注目していると…


「うっ…」


一口食べて口を押さえる!


「大丈夫ですか!?」


大臣達が声をかけると…


「まい…」


「えっ?」


「凄く美味しいです!今まで食べたことの無い味だ…クリームと合わさって更に果実の味が引き立っている!」


たまらないともう一口食べると


「では私もお先にいただきます」


カイルがローズに微笑んでタルトを食べると


「ん…本当だ!タルトになって更に美味しくなっている」


「更に…?」


近くにいたフリード様がカイルの言葉に反応する…


「あっ…いえ…と、とても美味しいです…それになんだか力がみなぎるようだ…」


「では私もいただこう…本当に大樹の実なら食べない訳にはいかないな…」


フリード様も口に運ぶと他の人達もそれに続く…皆、果実の美味しさに言葉を失った…


「これは…」


レイン様も食べると、何やら真剣に考えこんでいた…

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