第103話謝罪

「うん…」


ローズは遠くから聞こえる音に目を覚ますと、知らない天井が見える。


ボーっとしている目の焦点が徐々にあってくると…


「気分はどうだい?」


優しそうな男性が顔を覗き込んだ…


「こ、ここは…」


ローズが周りを見ると心配そうにしているカイル様とスチュアートさんが目に入った。


「あっ…私剣の打ち合い中に…」


起き上がろうとすると、最初に目に入った男性が肩を支えながらまた横にされる。


「無理しないで…少し診察させて貰えるかな?」


「は、はい…」


医師の格好にお医者さんだと判断してローズは身を任せると…


「おっほん…カイル様少し離れて貰えますか?」


じっと隣でローズを凝視しているカイルに注意する。


「す、すまない!」


カイルが慌てて後ろを向く!


ダンテは目隠しを立てるとローズに向き合った、目の焦点と頭を打っていないか確認する。


「痛いところはあるかい?」


「いいえ…頭は大丈夫です。ただ腕が…」


プルプルと震える腕を見せると


「ちょっとごめんね」


ダンテはローズの腕を触り出す。


軽く掴むと顔を顰めたローズをみて


「ちょっと無理しすぎたようだね、ゆっくり休めば明日には良くなると思うよ」


「はい、ありがとうございます」


ローズがペコッと頭を下げる。


「ダンテさん終わりましたか?」


目隠しの向こうからスチュアートさんの声がする。


「ええ、もう大丈夫です」


ローズを起こして目隠しを退けるとカイルとスチュアートさんがすぐ近くで立っていた。


「ローズ様!私がいながら申し訳ございませんでした」


スチュアートさんがローズの顔を見るなり深々と頭を下げる。


「や、やめて下さい!スチュアートさんは何もしてないじゃないですか!」


ローズが慌ててスチュアートさんの頭を上げさせる。


「いえ…ローズ様のお姿を見ればあの馬鹿共と接触してくるのは想像出来ました…しかし時間を忘れて王子達と打ち込みに集中してしまった…」


スチュアートさんから似合わない言葉が出てくる。


「ローズ!大丈夫か!?」


すると今度はロイ王子が医務室に飛び込んでくる。


「王子まで…大丈夫ですよ」


ローズが苦笑すると…ローズの笑った顔をみてロイもホッと息を吐く。


「よかった…」


ロイがローズ達に近づこうとすると


「失礼します!」


兵士達が次々と医務室に駆け込んできた!


「先程は大変失礼致しました!どんな処分でも受けます!ですからどうか罪は私に…国は関係ないのです!」


最初に飛び込んできた兵士がローズをみて頭を下げた!


すると次々に兵士達が入ってきてローズに頭を下げる。


その様子をローズはもちろんダンテも唖然と見つめていた。

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