187bit 交わした会話
「ハジメさんとシズクさんがITに対して相当な技術力を有していることも、ネット上で二人の情報が見つからないのも、この仮説であれば
真衣は講師二人に関する憶測を、さもトリックを見破るように照らし合わせていく。
「ま、真衣ちゃん落ち着いて。 私も真衣ちゃんの話を聞いていると、ハジメさんとシズクさんが過去から来た人かと思えてきちゃう。 だけど、もしもそうだとしたら、どうして二人はこんなセミナーを開いたんだろう。 お金を稼ぎたいから、っていうわけでもなさそうだし……」
英美里は真衣の見解に同意しつつ、一方でいまだ不可解な点もあることを示した。
「それは……、私にもわからない。 先週、ハジメさんは私と雛乃と英美里を『キーパーソン』と表現し、糸だけを『特別な存在』と言い表してた。 もしかすると、このセミナーの開催目的は、糸が深く関わっているのかもしれない」
「もういっそのこと、二人に直接きいたみたほうが早いんじゃない?」
そう提案したのは雛乃だった。
「監視カメラもあるし、カメラに向かって『ハジメさんとシズクさん、ちょっと来てくださいー!』って言ったらすぐに来てくれないかな」
雛乃は監視カメラが設置されている壁に向かって二人を呼びかける。
しかし、いつまで経っても部屋の扉が開かれる様子はなかった。
「思えば二人がいつもどこにいるのかわからないよね。 真衣ちゃん知ってる?」
「知らないし、知ろうともしなかった」
「だよね……。 うーん、二人がどこにいるか、何かヒントでもあったかなぁ」
雛乃が腕組みをして黙考する。
英美里も真衣も記憶を
その中で、糸がふとあることに気づいた。
「ねぇ、もしかして今、私たちはどうしようもできない悩みに直面している?」
「まぁ、手がかりなしじゃ、いつまでも二人の居場所を特定できないかもね」
雛乃が片目を開いて反応する。
「だとしたら……、りっちゃんが解決してくれるかもしれない」
糸はかつてハジメと交わした会話を思い出していた。
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