128bit 女の子?機械?オジさま?!
「Nishiki Koiちゃん? って誰? 雛乃ちゃんの知り合い?」
糸はてっきり雛乃の友だちか誰かが電話で繋がっているのかと思っていた。
しかし、それはまったくの思い違いで。
「いや、KoiはIkuraグループが開発したパーソナルアシスタントシステムだよ。 ほら、糸っちのスマホにもいるはず、声をかけたら返事をしてくれるロボットが」
「あ、そんな機能があったような」
普段使うことはないけれど、たまに誤操作で呼び出しちゃう機能。
いきなり女性の声が流れて焦った経験を糸は思い出していた。
「でもKoiちゃん、さっき私のことを『糸っち』って」
糸がKoiをロボットではなく人間だと思いこんでしまったのは、Koiに親近感が湧いたからだった。
「いいところに気づいたね。 Koiは元来Ikuraグループのロボットだから、手を加えなければ糸っちのスマホに入っているそれとさして変わらない。 けれど、私が別途みんなの情報を追加すると、Koiはその追加情報も参考にして返事をしてくれる。 糸っちが声をかけたとき、Koiは声の特徴を瞬時に識別し、手持ちの情報に照らし合わせて、声の主が『糸っち』であると判断した。 さらには、糸っちに初めて話しかけられたことも踏まえて、『はじめまして』とも付け足した」
「もしかして、Koiちゃんって雛乃ちゃんがずっと前から興味を抱いていた……」
「そう! Koiはね、AIなんだよ!」
雛乃は嬉々とした表情を浮かべながら言った。
先ほどまでのくたびれた姿はどこへやら。
「雛乃、ちょっといい? 私の認識だと、AIは大量の情報ありきで物事を判断する
「合ってるよ真衣ちゃん。 AIにとって情報は大切」
「私の一番の気がかりは、雛乃がどうやって『私たちの情報』をたくさん集めたのかということ。 糸の声をいつデータとして集めたの?」
真衣が淡々と問い詰めた瞬間、雛乃はビクッと身体を震わせた。
「ええっと、それは……企業秘密でして……」
「……そう。 あまり追及する気もないけど……悪用したらただじゃ置かないからね、ピヨ乃」
「ひ、ひゃい……」
雛乃は肩をすぼめて委縮モードになった。
「その点に関しては、イクラちゃんからも口酸っぱく言われていたよ。 Koiを
「Koiちゃんって名前や声も変えられるの?」
もし雛乃ちゃんが自由に決めていたのなら。
糸は尋ねながら想像してみる。
「もちろん! 私はさ、しっとり低音のイケオジ風ボイスにして、カジキマグロを釣るオジさまAIがモチーフだから、名前はAI・
『さぁ、今日もカジキマグロを共に釣ろうではないか、糸っち』
自分を呼ぶイケボのAokiさんが突如脳内に登場し、糸はひえっとしてしまった。
イクラちゃん……ありがとう……!
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