ガールズトーク(4)
「どうしてアコちゃんと三咲さんが」
「だよねえ。不思議だよねえ。ふふふ」
「ごめんね、ことちん。アコ、ことちんを利用してました」
「え……」
「アコ、ヨッシーのことが好きで、でも相手にしてもらえないから。ことちんと仲良くなれば話が聞けるし、ヨッシーの好みがわかるかなって。だからことちんと友だちになりました」
「…………話が見えないんだけど」
「だよねえ。すごいよねえアコちゃんの行動力。あのね、ことちゃん。アコちゃんは長谷川店長に危ないところを助けられたことがあって、それで知り合って恋しちゃったんだって。ひゃっひゃっひゃ。ヨッシーって長谷川由基ね。ぶぶっ」
「…………」
「三咲さん酔っぱらってる。もうお代わり禁止」
「あらあ。そんなことないない。いたってシラフ。そんでね、積極的なアコちゃんは店長にぐいぐい迫るも振られちゃって、そんでちょとヤケになっちゃったんだよね? あ、ことちゃんお腹空いてるよね。ピザもう一枚頼むね。今度はチーズ二倍にしちゃおう」
「…………」
「ことちん、ごめんなさい。でも、ことちんに憧れてるのは本当です。ことちんみたいに優しくてキレイできちんとしてて、だからきっとヨッシーはお嫁さんにしたいって思うんだろうなって」
「そんなの。わたしだって振られたのに」
「え」
「なになに、ことちゃん。どうしちゃったの」
「わたし、告白したんです。店長に」
「ええっ」
「でも、全然、まるで、相手にしてもらえなくて」
「あのバカ」
「笑って流そうとするの、許せなくて、馬鹿にしないでくださいって言っちゃいました」
「ま!」
「ことちん、カッコいい……」
「恥ずかしいよ、今思うと。でも、ものすごく腹が立って」
「そりゃそうだよ。そりゃあいつが悪い」
「ヨッシーはなんて?」
「さあ。わたし、言い捨てで逃げちゃったから。でも、あきれられたのは間違いないと思う」
「うーん。そっかなあ、そうかなあ?」
「ヨッシーはそれくらいでことちんを嫌いにならないと思う」
「……アコちゃんはわたしが店長に好かれてるみたいな前提で言ってるけど、そんなことないから」
「またまたー、よく言うわあ。憎からず思われてる自信があるから告ったんじゃないのお? ことちゃん」
「それは……」
「わお。ピザきたー。チーズがのびるうちに食べよう。ことちゃんもワイン飲む? 飲んじゃう?」
「いえ。わたしはドリンクバーで」
「ことちん声が暗い。ショックだったんだね」
「ショックだよ。店長の態度も。アコちゃんにそんな裏があったことも」
「ごめんね。はい、アコの顔ぶっていいよ」
「もうっ。いいよ、アコちゃんのことぶてるわけないでしょ」
「ことちん……」
「あー、かわいいねえ。男を間に挟んでの女子の友情。若いっていいよねえ、ドロドロしなくて。(ちょっとアコちゃん、他人事みたいな顔するんじゃねえって目で見るのやめて)」
「(このヒト自分は関係ないってフリしてるけどどうなんだろ)……ことちんはさ、いつからヨッシーが好きなの?」
「え、いつからって……いつだろう? ええと……」
「だいたいさ、こんな可愛いコふたりがあんな枯れたおっさんを好きだなんておかしいとおねえさんは疑問に思うわけよ」
「枯れてないもんっ」
「そんなことないです。店長はステキです! 特に腕まくりしたときに見える太い血管なんて……」
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