このレビューは『7話妖猫の花嫁 前編 07傷痕』まで読んだ段階で書きました。
『0話白狼の森』の頭の少しを読んだ時点で魅入られました。
レビューの前にせっかくだからもう少し先まで読もう、
を繰り返していたら、
ずっと後になってしまいました。
大ボリュームなので夜な夜な少しずつ読み進めています。
ウルカおねえさんがかっこよすぎる。
私はこういう、強い女がすきです。
そのウルカおねえさんが、
本編で師匠として関わるうちに、
ユウリスくんの魅力も研ぎ澄まされていきます。
私はこういう、確固たる意思を持つ子もすきです。
新たな登場人物が追加されるたびに、
その魅力を引き出すまでの期間を、
既知の人物が手助けしてくれる。
読み心地がよいので、私もぱくります。
最後まで追っかけます。
同時に当分は、
「私のより『ゲイザー』を読め」
を言い続けます。
本作はトゥア・ハーデ・ダナーンという架空の世界を舞台に、怪物や魔神の勢力と戦う闇祓いの少年の活躍を描いた物語です。
タイトルであるゲイザーからは、ファンタジーの世界では割りと定番な一つ目で宙に浮いた化け物が連想されますが、本作ではgaze(じっと見る)の見守るという意味合いが強いようで、光と闇の狭間で命を見守る存在となっています。
昨今のファンタジーとは少し趣が異なり、異世界転移やチートなどはなく、昔ながらのハイファンタジーの流れを汲む作品です。
また、文体は落ち着いており、各篇ともに読みやすい長さにまとめられており、すらすらと読み進めていくことが出来ると思います。
さあ、あなたもゲイザーの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
この物語は――少年が、闇祓いとして、そして一人の男として、成長していく物語です。読者もまた、少年の成長を見守り、あるいは共に成長を実感できる物語でもあると思います。
ところは、中世あるいは近代ヨーロッパにも似た世界、そしてその都市国家にも似た街、ブリギット。
その街を治めるレイン公爵家の庶子・ユウリスは、友人たちの呪いじみた遊びに端を発する、『闇』の顕現に出くわす。
そして出会う、美しくも強き白狼と、闇祓い《ゲイザー》の女・ウルカ。
白狼、そしてウルカと共に、ユウリスは『闇』と対峙し、そして以後、ブリギットを舞台に繰り広げられる、『闇』との戦いに身を投じることになる――。
これ以上は、物語をご覧くださいとしか言えません。ここで触るよりも、その方がきっと楽しいです。
また、ブリギットを軸に構成される作品世界、その紡がれた歴史、文化などに思いを馳せるのも、この物語の魅力です。
長い物語ですが、それだけ長く楽しめる、そういう物語です。
再度、改めて申し上げますが――物語をご覧ください。
面白いですよ!
厳格な導入から始まります。
見る人によっては「難しい……」と物怖じされるかもしれませんが、なんと、とても気軽に読めてしまう文字数です。
雪山で駆け回る真っ白なモフモフを想像しながらお読み頂けます。
0話冒頭からは早くもキャラ達が動き、自身もその場で話を聞いているかのように、没入してしまいます。
厚みのある文体でありながら、なんと、こちらもすぐに読めてしまう文字数です。
閉鎖的で退廃的な村人に苛々しながら読み進めていきましょう。
心配いりません、スッキリする展開はすぐに訪れます。
0話主役となる妙齢の女性、ウルカ。
魔獣狩りを乞われる程の力を有し、皆が目を背けたくなるものを前にしても理知的に検分する度胸。……加えて、洒落のきいた皮肉。
強い女性が好きな方には堪らない魅力が全面に出ており、一気に引き込まれることでしょう。
そして、その小屋から一歩外に出れば、まるで海外のオープンワールドアクションRPGの世界に飛び込んだかのように想像力が刺激されます。
ひとえに、作者様の多彩な描写がなせるわざです。
物書きならば誰もが羨むであろう文章力、言葉の引き出しの多さが随所に見られ、わたくしもう「森、すごい」としか言えなくなりました。
1話からは主役変わって、少年ユウリスの物語となります。(※ユリ“ウ”スではありません。ユ“ウ”リスです)
「港町の活気」とだけ書いて読者に丸投げしないほど如実に港の様子が描写されており、まるで埠頭に立って、漁師達の猛々しさと潮の香りを感じるようでした。
あらすじの通り、物語は少年の成長と共にあります。
忌子と蔑まれながらも己を見失わず強く生き、力に目覚める瞬間はとても高揚します。
要となる妖精の存在も、不気味さと愛らしさが相まって、憎めない存在トップ5でした(第01話公開現在)
伏線の張り方も目を見張るものがあります。
思わず笑みが溢れてしまう瞬間も多くあります。
ファンタジー好きを魅了してやまないの要素がふんだんに詰まった「The Gazer《ゲイザー》」
老若男女全ての方におすすめしたい、素晴らしい作品です。
いわゆる「なろう系」「チート系」「無双系」ではない、
世界観の骨子に重点を置いた、かなり本格派のダークファンタジー。
簡単にあらすじを書くと、
地球ではない異世界で、主人公のユウリス少年が、
怪物と闘いながら成長していく物語です。
他のレビューにもありますが、
まず世界観の構築、完成度が群を抜いて素晴らしいです。
導入は魔物、妖精の簡易的な説明からはじまり、
その短い中にも図鑑の一ページを切り取ったような説明や、
本当に短いエピソードで楽しませてくれる仕組みがあります。
読んでいるだけで、こんな異世界である、
こういう生物や不思議がきっと棲息しているのだと、
すんなりと筆者の描く異世界へと引き込んでくれる魅力に溢れています。
基本的に一話完結のようで、
一話が数節に分かれて掲載されているので読み易いのもポイントです。
お話しも起承転結がしっかりとしており、
どうなるの、え、そうなのるの、は、そんなことが、と、
現在公開部分に関して、私は一気に読み進めることができました。
筆力も高く、描写と台詞で上手く物語が進行されていきます。
文量的には台詞よりやや描写が多いかもしれません。
台詞でぱーっと読むような作品ではなく、
じっくりと腰を据えて読むタイプの作品だと思います。
レビューを書きたいと思わせてくれる作品に出会えるのは、
とても嬉しいことですね。
タイトルにした「次にくる」は、
私の期待と、敬意をこめて。
遂に、一つの区切りを迎えました。
自分の言葉ではとても言い表せないほどの、醜く、だから美しい物語。
構成、ストーリー、キャラクター、設定、伏線。
何を取っても至高、劣るものなどありません。断言出来ます。
長いので尻込みしてる方、いましたら一言。
読んで得しかありません。
今読む気にならないのなら、絶対フォローだけでもしておくべきです。
自分の浅薄な言葉では、この作品の魅力など語れたものではありません。
まずは一話でも読むことをお勧めします。
すぐに作品があなたを呼び込むでしょう。
白狼と少年、その師匠、そして全ての人々に。
闇祓いの作法に従い――!
書籍で読みたい。何度でも読みたい。
文庫本、上中下巻セットで3900円で発売されないかな?笑
少しずつ広がるゲイザーの世界。決して情報量過多とならないのは、読み手を最大限に考えて緻密に練られたプロットの賜物だ。
うねりやハネを利用して、キャラクターを生き生きと動かし、伏線をさり気なく蒔くと、気持ちいいほど最後は爽快にストーリーに花を咲かせる。
飛び抜けた言葉選びのセンスは、冷静に分析する気持ちさえも持っていかれ、いつしか文字の羅列に夢中になっている自分がいる。
文字だけで五感が揺さぶられる。
地の文、会話、描写の三要素を、場面に合わせてバランスよく組み合わせ、時には白熱させ、時には幻想的に、時には面白おかしく、話を紡いでいく。
話は王道だ。なのに、目新しさを感じる。
出てくるキャラクターに目新しい要素はないのに。なのに。
それは、執筆者の頭の中に無数の世界が広がっているからだと僕は確信している。言葉以上に膨大な設定がゲイザーの下地を支えている。
もし、つまらないと思うなら、夜更けにじっくり読むことをオススメする。
いつしか、ゲイザーの世界に溶け込み、主人公の成長を肌で感じ、心から応援している自分に気づくはずだ。