　不思議な老婆（ろうば）と少年ユウリスの、忘れられない夏がはじまる。

　家鳴（やな）りに悩まされる男。

　子供たちが口ずさむ、人形遊びの唄。

　滅び去った故郷の悲劇、交錯（こうさく）するウルカの過去。

　闇祓いを欺（あざむ）く悪意は、少年の心を容赦なく蝕（むしば）む。

　閉じたはずの戸が軋（きし）み、覗く隙間（すきま）。

　暗闇の廊下で、ふと感じる視線。

　ほら、囁く誰かは、すぐうしろ。

　そして聖女の後継者が剣を抜くとき、奇跡と殺意の光は瞬く。

　次回　第五話　屍人（しびと）の憧憬（どうけい）

　風の行く先を、見ない方がいい時もある。

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