第25話「【タイマー】は、報告をうける」

「というわけで、ルビンさん。ギルドマスターをやりませ───」

「やりません」


 即答するルビン。


 セリーナが言い終わる前にスパッッと切っておいた方が無難だ。


「はや!? え、なんで? どうして? ギルドマスターですよ!!」

「いや、…………今日の惨状を見て、ギルドマスターをやりたいです───って言えるわけないでしょう?!」


 どんだけ、空気読めないバカだよ!?

 しかも、これじゃマッチポンプを疑われるわい!!


「そ、そんなぁ……! ルビンさんがいないとこのギルド潰れちゃいますよ? いいんですか?!」

「何それ? 脅し?! え? 脅し!! ギルド憲兵隊さーーーーーーーん!」


「しー! しー! やめてください、あの人達冗談通じないんですから!」

「冗談じゃないです! 冗談じゃないよ!」


 ふざけてんのこの人?!


「もうギルド職員とかそう言うの当分いいです。……候補から消すわけじゃないですけど、あのギルドマスターを見てるとね」

「……ですよねー」


 わかってたら言うない!


「はぁ、残念です。期待していたんですけど……」

「そんなに人材いないの?」


 引退した冒険者なんて腐るほどいそうだけど。


「いませんねー。ある程度頭が良くて腕っぷしが立つっていう条件って結構厳しんですよ。ギルドは高給取りってほどでもありませんし……」

「あー……」


 つまり、条件にいい別の職場に人材を取られているというわけか。


「じゃあ、当分は……」

「そうですね。一応は私がギルドマスター代理ということに……しょぼーん」


 ……あんた、自分がしたくないだけやろ?


「と、とりあえず保留でお願いします。消極的保留で……」

「あーい……。しょぼーん」


 そんなに気落ちされてもね……。

 引退冒険者がする仕事をルビン回されても困る。


「───まぁ、どうしてものときは手伝ってくださいますか?」

「う」


 上目遣いでウルウルとした目で見上げられる。

 この目はズルい……。


 セリーナ嬢には借りもあることだし。無下にはできない。


「わ、わかりました。冒険者としての範疇でなら……」

「わぁ~! ありがとうございます!!」


 キャーと歓声を上げてルビンの手をとって、ピョインピョインと跳ねるセリーナ嬢。

 不覚にも可愛いと思ってしまった。


「と、とにかく。これで俺はSランクですか?」


 ぴた……………………。


「あ」

「ん?」


 セリーナ嬢がカチーンと硬直する。


「あの?」


 ダラダラと冷や汗を流すセリーナ嬢だが……。あれ? 俺「タイム」使ってないよね?


「えっと、そのー………………………ごめんなさい!」

「はぃ?」


 突如90度の角度で頭を下げられるルビン。

 


 ……一体何事??

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