アルベール王国vsオルデンブルク帝国4
「大将、前へ」
やはり
「それでは大将戦----はじめ!」
『
魔法属性=光
形状=纏
特殊=光剣
持続魔力=125
強化=1500×1.5
魔力=160000
速度=1000×1.5
『
魔法属性=雷
形状=纏
特殊=麻痺
魔力減衰=2
持続魔力=200
強化=3000
魔力=200000
速度=1000×2
やはり魔力減衰の魔法式は知らないようだな。強化、速度の両方に1.5倍の倍率がかかっているのは、さすがに優秀だが、複合強化を使う程ではない。
「……君、ルシウス君といったかな? それ、すごいね」
「どうも。あんたのそれも、随分なチートだな」
「分かるのかい?」
「光属性があるのを知ったのはあんたのおかげだよ」
「そうか。それは良かった。それで、引いてはもらえないのかな?」
「引く? なんで引く必要がある?」
「俺は強いよ」
「それで?」
「いや……いいよ。やろうか」
勇者として得た力に自信を持っているようだな。でもそれだけじゃない。多分元々なんでもできるやつだったんだろう。勇者召喚されるやつにありがちな特徴だ。
『
光の特殊効果の光剣か。何かと思ったが、そのまま光剣を生成する能力か。あの光剣に相当な魔力が内包されているのが分かる。
確かにあの能力があれば、自分が最強だと勘違いしても仕方ないのかもしれない。ただ、一度でも
「どうしたんだい? 何もしないのか?」
「わざわざ待ってくれる必要はないぞ。好きにかかってこい」
「君は自信家だな。ならいかせてもらおうか」
自信家?
「はぁ!」
白銀が光の軌跡を引いて、爆裂するように踏み込んだ。確かに速い。そして光の属性の効果もあるのだろう。数値以上の速度だと感じる。だが----
「何!?」
「どうした? 俺はここだぞ」
雷をなめてもらったら困る。光がいくら速かろうと、十全に使いこなせていない
一瞬で背後をとったが、反撃はせず白銀の力をもっと見せてもらうことにしよう。
「今のチャンスを逃したのはもったいなかったね」
「そんなことはないさ。この程度、いつでもできる」
「君のその自信……俺が打ち砕く!」
白銀を更に強い光が包み込んだ。そしてそれが脚部に集中していく。なるほど、部分強化もできるか。
「はぁ!」
そのかけ声はなんなんだ。攻撃を知らせてくれてるのか? 全く勇者ってのは喋らないと戦えないのだろうか。
爆発的な加速をした白銀が真っ直ぐに突っ込んでくる。そしてそのまま光剣を振り下ろした。
俺はそれにただ拳を合わせて振り抜いた。
多少の抵抗はあったが、拮抗することなく白銀が後方に飛ばされた。脚部に魔力を集中するところまでは良かったが、攻撃の際にもそのままだった。せっかくの部分強化を攻撃に合わせないのは無駄でしかない。
当然本来の威力も出せない攻撃なんて脅威たり得ない。
「これにも反応できるのか」
まだ上に立ってるつもりなんだろうか。勇者として突然力を持ってしまったことで、見る力、感じる能力が足りていないな。これから段々分かっていくだろうが、その力をつける前に化け物と出会ったら終わりだろう。
「本気を出すことにするよ」
「それは楽しみだ」
白銀の魔力が高まっていく。一点に集中しているところから、身体強化の重ね掛けではないようだが……
一点に集まった光がキィィンと甲高い音をたてている。それに呼応するように大気が震えている。かなりの魔力量だ。そして凝縮された光が、白銀の号令で放たれた。
『
魔法属性=光
性質=圧縮
発動数=1
威力=80000
魔力=80550
速度=500
誘導=50
特大の極光が駆ける。これだけの魔力を収束させた一撃、なかなかの威力だろう。その辺の国のトップレベルの魔術師でも対抗する術はないんじゃないだろうか。
実際王国トップレベルの母さんですら、俺が魔法について説明する前だと対応できないレベルだ。
それにこれだけの魔法の魔力制御ができることからも白銀の優秀さが分かる。でも、それでもだ。まだ足りない。
だから俺はこれを正面から潰す。
『
魔法属性=雷
性質=麻痺
魔力減衰=2
発動数=1
威力=100000
魔力=50300
速度=500
誘導=100
以前に
白銀の竜哮はかなりのものだったが、やはり
二つの極光が舞台の中央で衝突した。カッと閃光が走り、遅れて轟、と大地を震わせる程の衝撃破が舞台を消し飛ばしていく。
「なっ!? これに対抗できるのか!?」
この程度じゃ
拮抗していた極光は、すぐに竜哮を押し返しはじめた。威力からして足りていない。当然の帰結だ。
「くっ……! うぉおおおお!」
追加で魔力を流し込んでいるようだ。なんとか拮抗するところまでは持ち直したようだが、それは俺にもできることだ。すぐに拮抗は崩れて、再び白銀へと極光が迫る。
そして臨界を越えた極光の衝突は、爆裂するようにかき消えた。後にはバチバチと弾けるように
近くでその衝撃を受けた白銀は体に多くの傷を刻んでいるようだが、なんとか致命傷にはならず耐えているようだ。
「はぁ……はぁ……君は一体……」
「あんたの実力はわかったよ。そろそろ終わらせよう」
『
結界の力によって自動修復されていく舞台の全天に、数多の魔法陣が展開されていく。そのどれもが必殺の破壊力を秘めているものだ。
「くっ……!」
『
身体強化とは少し違うようだ。防御特化の魔法だろう。白銀の体を分厚い光の鎧が覆っている。
おそらくかなりの防御力を誇る魔法なのだろう。稲妻の流星は発動まで少しだけ間がある。
発動に間に合ったことで安心しているんだろう。つまり、あの空に浮かぶ魔法陣がどんなものか全く理解できていない。あの程度の防御魔法で耐えられるものではないということが分かっていない。
「墜ちろ」
全天に展開された魔法陣に魔力が十全に溜まったことを確認し、解放の言葉を紡ぐ。
魔法陣に稲妻が帯びていく。そして全ての魔法陣が白銀に対して、その波動を解放した。
大地が震え、割れる程の轟音が響き渡る。魔法陣から絶え間なく稲妻が白銀に
舞台上は轟音と稲妻の衝撃で巻き上げられた粉塵、そして絶え間ない稲妻そのものによって視界ゼロの地獄と化していた。
時間にすれば、精々十数秒程だろう。魔法陣が力を失う前に、白銀は致命傷となって強制的に退場させられていた。
巻き込まれないように待避していた審判が、あまりの状況に呆然としている。ついさっきまで五月蠅いほどに盛り上がっていた観客席も、誰もいないかのような静寂に包まれていた。
「審判さん? 終わりましたよ」
「え……? あ、あぁ。すまない。コホン……決勝戦を制したのは----アルベール王国!」
止まっていた時が動き出したかのように、会場はこれまでで最大の歓声に包まれた。
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