やり過ぎた訓練
『
魔法属性=地
形状=纏
特殊=硬化
魔力減衰=2
持続魔力=40
強化=500
魔力=8000
速度=300
硬化=強化
レーナの属性付き身体強化だ。地属性は特殊の硬化が非常に有用だ。単純に強化の数値分防御力が向上するんだが、自身に作用するものなので、
俺の場合は麻痺だが
そしてレウスは……
『
魔法属性=風
形状=纏
特殊=結界
魔力減衰=2
持続魔力=40
強化=400
魔力=8000
速度=400×2
魔法名はやめたほうがいいと忠告したんだが、どうしてもこれが気に入ったらしい。まぁ実際ちゃんと効果が出てるし、レウスのイメージと合ってるみたいだからいいんだが……
性能は速度寄りになっていて、剣士のレウスに合わせたものになっている。雷の特性を含めた速度には劣るが、同倍率の乗算が掛かる。
そして風属性も特殊効果の結界が良いものだった。常に風の結界を纏っているんだが、ある程度の遠距離攻撃を自動迎撃するようになっている。
これも剣士のレウスにはかなり良いものだろう。
次にマリーだ。
『
魔法属性=氷
形状=纏
特殊=氷像
魔力減衰=2
持続魔力=40
強化=300
魔力=8000
速度=500
水の上位である氷の特殊効果はかなり特異なものだ。強化や速度のボーナスはないが、自身をコピーした氷像を作り出すことができる。自身と同じように動かすことができるため、単純に手数が二倍になる。
出せるのは一体だが、破壊されても再構築することが可能。かなり使い勝手の良い能力だろう。
そしてエリーだが、想定以上に強くなっている。
『
魔法属性=火
形状=纏
特殊=火傷
魔力減衰=2
持続魔力=75
強化=500×2
魔力=28125
速度=1000
火の強化2倍をうまく使って速度と均等に強化している。そして乗算前の強化値ですら、強化寄りのレーナと同じだ。レーナは硬化があるから単純には見れないが、エリーの素質は思った以上に高いようだ。
魔力もここ一ヶ月でかなり増えている。上がれば上がる程上がりにくくはなるが、一ヶ月でこれは望外の成果だろう。
そして最後にアリスだ。
『
魔法属性=聖
形状=纏
特殊=治癒
魔力減衰=2
持続魔力=35
強化=100
魔力=6125
速度=600
聖属性の特殊効果は非常にいいものだ。なんと自動治癒。強化と速度の合計値は五人の中で一番低いが、継戦能力が高そうだ。この一ヶ月という短期間で魔力消費6000を越える魔力制御が出来るようになったのは、元々Bクラスだったことを考えれば、一番の成長率じゃないだろうか。
それにしてもこの短期間で強化値はまだまだとはいえ、全員が王級魔術を使えるようになるとはな。というかちょっと前の俺が普段使おうと思っていた強化値より高いんだけどな……いや、俺の考えは|深淵≪アビス≫に出会ったことで完全に変わったよ。
身体強化が三時間保つからなんだってんだ。短時間でもいいから限界ギリギリまで注ぎ込まないと|深淵≪アビス≫相手だと十秒も立っていられないだろう。みんなにも長時間保たせる魔法式は勿論必要だが、上限いっぱいの魔法式も必ず用意しておくように伝えているしな。
正直みんなもう学園に通う理由がないくらいだ。王級魔術の魔法式なんてのは一般的には公開されていない。それは学園に通っても同じで、精々が上級魔術だ。
そこをルシウスブーストでぶっ飛ばした。属性別の特殊効果の魔法式は前に調べたときに、かなり苦戦したが、なんとか解析していたからな。
「はぁ……やり過ぎだろお前ら」
アドルフ先生が呆れている。それもそうだろう。元々俺の攻撃を防いで反撃できるように、というのが目標だった。手加減しているとはいえその目標は当然達成している。
それ以上に王級魔術が強すぎる。補正率や特殊効果など、普通の身体強化では仮に元の値が同じ魔法式を組んでも相手にならない。
そして対抗戦に出てくるような相手が王級魔術を使えるとは思えない。そもそもどっちかといえば遠距離魔術が重視されてるみたいだしな。
みんな身体強化に関しては詠唱破棄までマスターしているし、相手は何もできないんじゃないだろうか。
「つーかなんで全員前衛みたいになってんだよ」
「勘違いですよ。これまで通り前衛はレウスとレーナだけです」
「はぁ? じゃあ残りは後衛なのに属性付きの身体強化使うのか? 王級魔術だぞ……」
「パーティで戦う時は、使わないこともあると思いますよ。危なかったら使いますけどね。まぁ対抗戦は一対一だからどっちでもいいですね。あえて言えば使ったら一瞬で終わるんじゃないですか?」
「当たり前だろーが! どこの新人対抗戦で王級魔術使う学生がいるんだよ!」
そうなんだよな。ただの身体強化でも詠唱破棄すれば、ノロノロ詠唱してる魔術師なんてただのカカシみたいなもんだ。まぁでもこれは対抗戦というよりは部隊として強化してたらこうなってしまっただけだ。俺は悪くないぞ。
「まぁまぁ。適当に手を抜けばいいじゃないですか。むしろ盛り上げる演出をする余裕までありますよ」
「アホか! 王国も宮廷魔術師が見にくるんだぞ! あの人を誤魔化せるわけないだろうが!」
あー、さすがに宮廷魔術師クラスは誤魔化せないかもな。母さんに近いレベルってことだもんな。まぁでも負けなければいいんじゃないかと思う俺がいる。
「そんなこと言っても本気出したら
「誰のせいだ! 誰の!」
「まぁまぁ。みんな強くなっていいことじゃないですか」
「はぁ……まぁ魔術師隊からのスカウトを考えたらいいことではあるんだが……」
「ん? 僕たち魔術師隊には入らないよ? ルウの部隊に入ってるし」
「レーナ!? 何言ってるの!?」
「あ……ごめーん秘密だった。今聞いたことは忘れてくれると助かるかなー?」
「ヴァルトシュタインの部隊……? おいお前ら、それってもしかして……」
「さ、さーて! 今日も放課後の自主訓練に努めようかなぁ! みんな! ほら行くよ!」
隠さなきゃいけないわけじゃないんだが、もう少しバレずにいたい。でもあの反応……アドルフ先生は気づいただろうな。まぁいいか。あの先生なら言いふらしたりはしないだろうし。
◆
「レーナ君!」
「はい!」
「君はもう少し気をつけるようにね?」
「はーい……」
珍しくレーナが少しだけ落ち込んでいる。まぁ俺達が
「さて、ついに明日は対抗戦だ。みんな体調は大丈夫か?」
「完璧だぜ!」
「問題ありません」
「ボクも元気だよ!」
「だ、大丈夫だよ」
「問題ないわ」
うむ。全員しっかり体調管理ができているようだな。レーナ、君は立ち直りが早すぎるぞ。もう少し反省しなさい。
「よし、じゃあ今日は前日だし、訓練は休みにしよう。明日は王都のアリーナだから移動に時間はかからないけど、遅刻するなよ?」
みんな真剣に頷いている。強くなってはいるが、周りの比較対象も同じように強くなってるからあまり実感がないのかもな。実際は多分楽勝すぎるだろうけど。
警戒するとすれば、俺の実力を知ってる帝国だけか。さすがにSクラス冒険者とか明らかな大人を出場させることはできないだろうけど、確実に何かしてくると俺は考えている。
まぁそれでも今のみんななら何とかなるか、とも思っているが。
さぁ、ついに
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