第85話 落ち着くに落ち着けない祝勝会

「それじゃあ、タロちゃんも来たところで

みんな体育祭、お疲れまでした~!!!

かんぱーい♪」


「かんぱーい♪♪♪」



美名城の乾杯のあいさつで

始まった祝勝会?



「美名城先輩、お兄さんの姿が見当たりませんが!」


「あ、お兄ちゃんはお家にいるよ!!

お祝いに勝手に使っていいって貸してくれたの♪」


「ああ、そうだったんですね」

できた妹なら

できた兄ということか。


太郎にとってこういった

お祝いの席は初めてに等しく

慣れないながらも嬉しくもあった。


デートではなかったけど、

こういった仲間との食事もいいもんだな~



そんなことを思っていると

菊池が

「ところでタロちゃん、閉会式どこいたのー?」


初球からごもっともすぎる直球が太郎に襲いかかる。


「あ、それはね、

体調を崩して保健室で寝ていたんだ。」


「ゴホゴホッ」

顔をそらしてむせる駿。


「いやいや~

実は保健室でサボってたんじゃないのー」


菊池の追求に高坂も

「そういえば開会式の時もテント下に来てたもんね」


「ゴホゴホッ」

再びむせる駿。


「ま、ま、まさか~

閉会式出たかったんですけどね~」


「タロちゃんは肝心な時にいないんだから。

でも、タロちゃんの代わりに

坂本さんが見てくれてたからいいの。」


唯一保健室にいたことを知っている美名城が

助け船を出すかと思いきや、坂本さんを話に出した。


「ゴホゴホゴホッ」

太郎より落ち着かない駿だった。


「大丈夫か駿殿?」


「あ、うん、

大丈夫じゃないかも・・・」




「まぁ、でも青組が優勝できて

よかったですよ!!あ、!?」


太郎の一言は

場の空気を凍らせた。


「あんたって人はまったく!」

菊池のツッコミに

八千草美悠は


「いいのよ、

青組のパフォーマンスはすごくて

とても感動したし、これは祝勝会なんだから。

私たちのことは気にしなくていいよね、あかねちゃん♪」


「はい、

私は今日どうしても聞きたいことがあってきたんで。」



「聞きたいこと?」

高坂の聞きたいことを美名城が尋ねると


「青組のパフォーマンスには本当に驚かされました。

全ての項目で減点するところがないどころか

加点してもしたりないくらいの出来映え。」


「いやいや、褒めすぎよあかねちゃん!!」


「本当の話です。

スクリーンを使うという発想力と

グラウンドをライブ会場へと変貌させたシナリオ

パフォーマンスが終わっても、

まだ観ていたい

聴いていたいと

思わせる高揚感。普通じゃないです。

どうやってあんなパフォーマンス思いつくんですか?」


青組のパフォーマンスに

かなり興奮した様子の高坂に

美名城は一言、


「優秀な仲間たちに恵まれたから!!かな。」


「優秀な仲間?」


「そう、ここにいる子たちとかね♪」


「あなたたちが?」


美名城の回答に

照れくさそうにしながら

至福の喜びに満たされる五人。


孝也が

「俺、一生美名城先輩について行きます!!」


「いや、それは迷惑でしかないから!!」


と菊池がツッコミを入れて場が盛り上がる。





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