第66話 白熱の組対抗リレー

組対抗種目では、

綱引きや玉入れなども含まれているが

それらはあくまで前座としてある。


組対抗では

各組の一二三年生の

男女が一人ずつと最後にアンカーが一人

という流れとなっている。


その中で駿は

一年男子としてではなく、

アンカーの一人として

選出された。


翔も黄組のアンカーとして

名を連ねた。


赤組のアンカーは

三年の陸上部部長 舟道 速人



「それでは、

これからお待ちかね、組対抗リレーです。

今年のリレーを制するチームは一体どこになるのでしょうか?

リレーをつなぐ勇者さんたちの入場です。」



駿は100m決勝戦の時と同じかそれ以上の緊張を覚えていた。



リレー出場者たちが集まるよう放送が入り

駿が待機場所に向かう際に、

緊張した様子の駿を見かけた太郎は駿に一言あることを伝えていた。



「駿、お前が何に緊張しているか俺にはよく分かる。」


「え?」


「アンカーでこけたらどうしようって思ってるんだろう?」


「あ、いや、ちがっ」


「任しとけ、

そんなときはな・・・・」


「あ、うん、

タロちゃんありがとう!!」


「おう、ちゃんと見ているからな!!」



そして



「いちについてー よーい  バンッ!!」



「組対抗リレーがいよいよスタートしました。」



第一走者、第二走者の一年生ランナーで

黄組が一歩リードし、赤組、青組と続いた。


第三走者、第四走者の二年生ランナーで

黄組を赤組が射程にとらえ、青組がその後を必死に追っていた。


第五走者、第六走者の三年生ランナーで

再度黄組が一歩リードし、青組がぶり返してくる。


そしていよいよ

第七走者、アンカーへとバトンが渡されようとしていた。



「現在、一位黄組、二位が同時で赤組と青組です。

さあ、まもなくアンカーにバトンが渡ります!

黄組のアンカー、速人くんにバトンが渡りました。

続いて赤組翔くん、青組駿くんにバトンが渡りました。

おおお、これは・・・」



黄組の三年陸上部部長の舟道速人に

バトンが渡った瞬間、

黄組の優勝を確信した黄組陣営


相手は二人とも一年生。

抜かされることはありえない。


しかし、赤組と青組の陣営は

まったく違うことを考えていた。


あの100m、200mを勝ち抜いて

一位で駆け抜けていく姿が、

ガッツポーズをしている姿が、

鮮明に残像としてある。



きっとやってくれる!!




翔と駿は

併走状態でぐんぐん速人に迫っていく。




残り、100mトラック半周としたところで、

翔と駿は速人を捉えた。


赤組と青組の声援はより一層盛り上がっていく。



三人が横一線となり互いの威信をかけて

チームの期待を背にけたたましく駆けていく。



まさに三つ巴!!



横一線となった最後の半周は、

三人ともそれぞれの過去(想い)を回想して駆けていた。

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