第59話 私の手伝いをするなら私の隣にいてもいいよ

ど、どうして真千先生まで・・・


高坂は目覚めた太郎に

話しかける。


「あの、改めて

私は二年の高坂あかねっていいます」


「あ、はぁ~・・・」


「あ、はぁ~じゃなくて、

あなたの、名前は?」


「あ、俺は、あ、私は

一年の佐藤太郎です」


「佐藤太郎!だからタロちゃん!!」


「え?」


「あ、いや、その、ゴホン!!

どうしてあなたはここにいるの?

ここは居眠りしていい場所ではないわよ。」


「そうなんですか?」


「当然よ。ここは全体を見渡しながら

実況をしてリアルを生徒たちにお伝えする場所よ。

居眠りするなら救護室に行きなさい。」


「それもそうですね。

じゃあ、、そうします。」


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」


「え、どっち?」


「だから、その・・・これからはってこと。

今、いきなりここを離れたら

私が追い出した感じに見えちゃうでしょ!!」


「はぁ~・・・」


「しょうがない。じゃあ、私の放送の手伝いを

することで、私の隣にいることを許してあげる。」


「はぁ~・・・・はぁいー??」



「先輩命令よ」


「わお!!」

人生初の先輩命令・・・・

でもないけど、美名城先輩といい

この高坂先輩といい先輩という人種は人遣い荒い人たちばかりだな。


太郎は、これはやっかいな

先輩に捕まってしまったと感じていた。



菊池は、

「ねえねえ、

タロちゃんって100m走出るんじゃなかったっけ?」


駿が

「うん、僕と一緒に出る予定だったんだけど・・・」


八千草が

「もしかして、タロちゃん、忘れちゃってるのかな?」


菊池が

「いやいや、それはないでしょ」


孝也が

「なくはないみたいだ。見てみれば分かる。

高坂あかねとの距離がもう数㎝の距離になっている。

タロ氏も男。俺なら高坂あかねとあの距離にいたら

理性を保てない!!」


「いや、そこそんなに胸張って言えることじゃ・・・」

駿がツッコミを入れ、続けて

「タロちゃんのことだから

きっと訳があってあそこにいるんだよ。

タロちゃんの100mの順番は一番最後だから、また近づいたら迎えに行くよ。」



そんな不安をよそに

高坂は


「さあ、これから体育祭第一種目

待ったなしの100m走です。

一番足が速い者は誰なんでしょう?

陸上部か野球部か、サッカー部か

先ほど私の前でMVPになると宣言した

我が赤組の青年か、

それともそれとも・・・

青組の一年生、太郎君は誰だと思いますか?」



「うーん、私は青組の最後に登場する

若草駿くんが大、大、大注目だと思いまーす♪」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る