第45話 体育祭で期待すること

店長の気まぐれランチが出来上がるまでの十五分間

美名城は

これまでの体育祭で経験してきたこと、

他の組の動向や青組の強みについて語った。


「そうなんですね。優勝って難しいんですね。」


「そうね。どこも優勝目指してやってるわけだから

ミスは許されないけど、

だからといってミスを恐れて

縮こまってしまってもよくないものなの。

体育祭は高校生の私たちにとって

一度きりの青春イベントだからね♪」



美名城は二年間の体育祭を思い出しながら

一年のときに言われた兄の夏海の言葉を思い出していた。



「いいか、夏帆、体育祭は人生一度の青春イベントだ。

楽しまないでどうする?誰よりも楽しんだものが優勝するんだ!」


・・・・

はっ、まったく、私としたことが。



「いや~、美名城先輩の言葉は胸に刺さります」


「ありがとう!

一度きりの青春イベント楽しもうね♪」


孝也と菊池を含めて

五人は美名城の言葉に体育祭への想いが高まっていた。


美名城は続けて

「それでね、

実は今度赤組、黄組の代表者と視聴覚室で

合同の会見があるの。

まぁ、会見に来るのは

新聞部の生徒(記者)たちだけどね。」


「会見もあるんですか?すごいですね。

会見ではどんなことを話すんですか?」


菊池の素朴な問いに


「会見では、それぞれの組の強みだったり、

優勝への意気込みだったりを話すんだけど、

私はそこで青組の強みについてあなたたちのことも

話そうと思ってるわ。話しても大丈夫?」


「ええ、私たちのことですか??」


五人はじっと美名城を見つめた。


「そう、

あなたたち五人はとてもバランスがいいし、

五人が揃うと相乗効果にのって

必ず何か面白いことが起きるでしょ。」


「うんうん」

頷く孝也、菊池、八千草をよそに


「そうかな~」

と首を傾げる太郎と駿


「だからね、この青組も

ダンスチーム、応援団チーム、看板チーム

みんなが揃うことで

あなたたちみたいに相乗効果にのって、

面白いことが体育祭で起きる。そう信じてるのよね。」


「うんうんうんうん」

頷く孝也、菊池、八千草をよそに

相変わらず首を傾げている駿と太郎。


すると美名城は

「そこの二人はピンときてないというか、

それで優勝できるのか?って感じね。

優勝できるわよ。

青組のリーダーを誰だと思ってるの。」


駿と太郎の傾げていた首が垂直に戻った。


そうこう話しているうちに

十五分が経ち、

店長お手製のみんなのランチが出来上がった。

無論、その中には美名城が注文した

「店長気まぐれランチ」

も含まれている。


料理の見栄えは、

田舎のカフェにしては

そこそこの見栄えあるものとなっている。

メインは海満の海でとれた魚の刺身と煮付け

そのほかにもシジミ汁や漬物など

店長のこだわりが全面に出た

カフェと言うことすら忘れさせてしまう

気まぐれランチとなっていた。


「すごいですね」


海鮮パスタを頼んだ菊池と八千草は

さっそくスマーチョフォンでパシャリ♪


気になる美名城自身の反応も

「うん、すごく美味しい!!」

と表情から堅さがとれていた。

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