第31話 真相を求めて

菊池が驚いた表情で

「なるほど、二年にして三大美女ね。

一体誰がその三大美女を決めるっていうの?」


すると孝也は

「それはこの海満の野郎どもであり、

海満の最高機関だよ。」


「何よそれ。

かなり妄想入ってるわね。」


続けて菊池は

「ところで

そんな美名城先輩級の美女が妹ってことは

兄でなんだっけ、ハンドボール部部長の

月嶌葵ってイケメンなの?」

と容姿について素朴な疑問をぶつけた。


駿が菊池の素朴な疑問に

菊池さんってそういうこと

気になったりするんだと意外な面持ちに

つい言葉に出しそうになりながらも、

ぎゅっと唇を噛んで堪えていた。


孝也が菊池の素朴な疑問に淡々と答えた。

「無論だ。

なんつったって美名城先輩の元カレだからな。」


あまりにも唐突な一言に

菊池、八千草、駿の三人は

どうして孝也がここまで詳しいのか、

底知れぬリサーチ力にゾッとしていた。

敵に回すとやっかいな将軍間違いなし。


菊池が

「八千草さんも知ってたの?」


「うん、

でも噂で聞いたことがあるだけで・・・」


すると孝也は

「そうなんだよ。

俺も色々と独自に調べてみたんだが、

葵氏が元カレという決定的な証拠が一つも見つかっていない。」


駿が

「そうか、

孝也で一つも分からないとなると

噂と事実は異なる可能性もあり得るってことか」


駿はこの時、

その噂をあまり当てにしていなかった。


あの時美名城先輩が

タロちゃんに言ったことは

冷やかしでも何でもない。


一見そんなふうにも

見えなくもなかったが、あれは違う。



美名城先輩は・・・


タロちゃんのことが・・・・




孝也は

「まぁ、真相はなんであれ、

青組の裏リーダー月嶌葵に話を聞きに行こう。」

と切り出した。


噂を知った三人も気になって

孝也と一緒に、

海でのショーと

噂の真相を確かめるべく月嶌葵のところへと向かった。



「そういえば、月嶌葵ってどこにいるの?」



「どうやらいつも図書室にいるらしい」




最上階まで階段を上がり、

四人は図書室前で止まった。

ただの図書室のはずが、

なにかいつもと違う雰囲気を四人はすでに感じていた。


「よし、行くぞ!」


孝也の 出陣だ!と言わんばかりの

掛け声で扉を開けた。





「あれ?・・・・」




図書室に月嶌葵らしき人物が見当たらない・・・

どころかいつもいる司書の先生も留守なようだ。


「誰もいないなんてなんか変ね。

図書室全然来ないから分らないけど

いつもこんな感じなの?」


菊池の問いに

八千草が

「ううん、私は時々来るけど、

誰もいないのは初めて。

何かあったのかな?」


駿と孝也も

何か違和感を感じながら

図書室の様子を観察していると、

突然、図書室の扉の開く音がした。



四人は急いで図書室の本棚に身を潜めた。


誰かが入って来るやいなや

話し声がする。


「各班の進行具合はこれを見る限り順調そうだな」



「ええ、とても頼もしい限りだわ」



この時、孝也の聴覚センサーが何かを察知した。






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