第30話 青組裏ボスならぬ裏リーダー
特に驚いていたのは駿、菊池、八千草であった。
ダンスグループでありながら
これといった指示は受けていなかったのだ。
それなのに目の前で同じダンスチームの先輩たちが
見知らぬ人たちと活動していた。
一体どうなっているんだ?
互いに目を合わせて知らなかったことを確認し合う三人。
するとこれまで沈黙を貫いていた孝也が
「これは聞いてみるしかないな」
駿が
「誰に?」
「無論、リーダーにだ!!」
八千草が
「え、でも・・・」
「でもはない。
少なくとも俺たちではこの活動の狙いは分からないし、
何も聞かされていないというのも納得がいかない。
説明責任がリーダーにはある。」
そう言い切って海辺を後にした。
駿が
「リーダーに聞くって応援チームの?
それともダンスチームの?
それとも・・・看板チームの美名城先輩?」
駿の質問に孝也は
「分かってないな、駿。
どのチームのリーダーも
おそらくこのショーのことは知っているだろう。
でも、そこは全体を仕切っている
青組を統括する真のリーダーに聞かないとはっきりとしない!」
菊池が
「青組を統括しているのって美名城先輩じゃないの?」
孝也は腕組みをして答える。
「確かに美名城先輩は
看板チームのリーダーでありながら
なぜか応援チームやダンスチームの中でも発言力があり、
支持率だけで言えば青組ナンバーワンであることに違いはない。
俺が惚れるだけのことはある。
でも不思議に思わないか?
俺のような男性陣の支持率は置いといて
同性の女子たちからもあれだけの支持率。
反対勢力なんかがいてもおかしくないはずだろう。」
菊池は
「つまり、どういうこと?」
「つまりだな・・・」
菊池、駿、八千草の三人はただただ耳を傾ける。
「つまりだな
青組を、いや、美名城夏帆と青組を
裏で操っているやつがいるということだ。」
孝也の発言に
菊池は
「いくらなんでも考えすぎでしょ!?」
と言うと
「いや、実はもう裏はとれている。」
3人は同時に
「え?」と声をあげた。
「俺は何事も納得しないと気が済まないたちでね。」
菊池は
「それで?誰なの?美名城先輩以外のリーダーって?」
孝也は腕組みをほどき、
身振り手振りを使って
話し始めた。
「青組の真のリーダー
青組の裏ボス
いや海満の裏ボス
名は、
月嶌 葵 」
八千草がふと
「え?月嶌?」とつぶやいた。
八千草の反応に
「そう、あの月嶌先輩だ!」
駿と菊池の頭上にはハテナマークが並んだ。
「誰だ?」
孝也が
「駿と菊池さんはどうやら
知らないみたいだから説明すると
月嶌葵は男子ハンドボール部部長で
一つ下の二年生に妹の月嶌雪がいる。」
菊池が
「えーー、すごいじゃん、
だってうちのハンドボールって
男女ともに強いもんね!
でもなんでそんな部長をはるような人が
裏で青組のリーダーとして仕切ってるの?
見たこともないし。」
するとおもむろに
孝也が口を開いた。
「ハンドボール部部長と言う肩書も
確かにすごいことだ。全国区の名門でもある。
ただ、注目すべき点はそれ以外に二つあって、
まず、妹の月嶌雪だ。」
「ハンドボール部部長以外に二つも?
しかも、妹?」
「ああ、
月嶌雪は書道部に属していて、
一見何の関係もないように思えるが
実は・・・
月嶌雪こそ
美名城先輩と同じ
我が海満が誇る三大美女の一人なんだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます