2-9 夏休みに向けて

夏も本場を迎え、日を追うごとに暑さが増す。

蝉の鳴き声が、至る所で聞こえ、すっかり夏だと実感させられる。

今日の終業式を終えると夏休みに入る予定だ。

終業式はすぐに終わり、教室へ僕と凜君と優君の3人で戻る時、凛君が提案をした。

「高校最後の夏休みだし、海に遊びに行くか?俺の叔父さんが海の近くに別荘持ってて、いつでも泊まりに来ていいってさ!」

「海かぁ、、」

僕は、泳ぐのが少し苦手だった。

「行こうよ!」

優君が、珍しく乗り気だった。

「珍しいね。優君が、すぐに乗るの。」

「うーん。実はね、、今、次に書く絵のイメージがわかないんだぁ。これが、美術部で最後の絵になるから、いいもの書きたいなって思ってるんだけど、、、、」

「それなら、なおさら行こうぜ!!」

凛君のテンションが上がる。

「じゃあ、行こうか!」

僕も賛成した。


「俺も、行くな!」

その話をどこで聞いていたのか、武藤君が、僕の肩に手をまわし、話に入ってきた。

「やめろよ、勇!愁君に迷惑だろ!」

凛君が、武藤君を僕から引き離す。

「いつもごめんね。」

重岡君が丁寧に僕に言う。

「玄、お前だって、海行きたいだろ!凛が、別荘に泊まらせてくれるって言ってるんだし!」

「俺は、誰もお前を泊まらせるとは言ってないけどな!しかも、俺の別荘じゃねぇーし!」

「そう言うなよ。俺ら幼馴染だろー」

武藤君が凛君に迫る。凛君が、少し押されているように見えた。

「愁君、、どうする?」

凛君が僕の顔を見る。

僕も困り、優君を見た。

「ウチは、どっちでも、、」

優君は、苦笑いをした。

「愁も、俺と行きたいだろ!」

武藤君が、至近距離で僕に囁く。


「えっ、、、、」


「なーに、はなしてんのー!?」

ひょっこりと、東条君が話に入ってくる。横には、藤澤君がいた。

「瞬、お前も海に行きたいだろ!凛が連れてってくれるってさ!」

「誰も言ってないだろ!話を大きくするな!」

凛君が怒っている。

「海、行きたーい!」

東条君が、人懐っこい笑顔で言った。

「恭くんも行くよね!?」

東条君は、藤澤君に聞く。藤澤君は、凛君の顔を見る。

「凛がいいなら。」


「あっーーーーー!!もうわかった!!みんなで行けばいいんだろ!!」

凛君は、観念したみたいだ。

「やったぁーーー!!」

東条君が喜んでいる。武藤君が、凛君にお礼を言った。

詳細は、凛君がリンクで送ることになった。


学校が終わり、音楽室に向かう途中、僕は、凛君に話かけた。

「海、大人数になっちゃったけど、大丈夫?」

「人数は、問題ない。叔父さんが、何人でもかまわないって言ってたし。それより、愁君は、勇とかいるけど大丈夫か?」

逆に凛君が僕を心配してくれる。

「ははは、、、凛君と優君もいるから大丈夫だよ!」

「ならよかった!」

少しの沈黙のあと、僕は聞いてみた。

「藤澤君がいるけど、凛君は、、大丈夫なの?」

「別に、もう終わったことだし。ま、俺らには、何もなかったしなーー」

凛君は笑っていた。

「そっかぁ、、、」

「あっ、そうだ。響君も誘おう!」

「そうだね、そうしようー」


「何話してんの?」

響君と合流した。

「夏休み、みんなで海に行くことになったんだけど、響君も行くよな?」

「そうだね。」

凛君が、行くメンバーを説明する。

「いい夏休みになるかもね。」

含んだ笑顔で響君が僕を見つめる。

「詳細は、また、リンクで送るな!グループ作ったから、あとで招待する!」

「わかった。」


僕たちは、音楽室につき、定期演奏会に向けて練習をする。



高校最後の夏休みが、いよいよ始まろとしていた。






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