2-6 久しぶりの学校
学校に行く途中、本当に、男性しかいなかった。
それは、普通のことのように思えるけれど、なぜか違和感がある。
同じ学校の生徒を見かけ、その制服姿に変な感覚を覚える。
スカートを履いている人がいた。
スカートかぁ、、、、
しみじみと考えていると後ろから声をかけられる。
「おはよう!」
僕と同じズボンの制服姿の響君がいた。
「おはよう!」
「もう学校に来ても大丈夫なの?」
「うん。記憶は、まだ曖昧だけど、行けば何か思い出せるかなって、、」
「そっか。僕は、一緒のクラスじゃないけど、休憩時間は行くよ!何かあったら、いつでも言ってね!」
響君は、優しく微笑んだ。
「ありがとう!」
「これから一緒にクラスに行って愁君と仲が良い元宮君と凛君を紹介するね!」
「ほんと?そうしてくれると助かる!」
話をしていると、学校に着いた。
学校は、特に何も変わっていなくて、教室には、問題なく行けた。
「愁君、大丈夫だったの?」
写真で見た優君という人がスカート姿で駆け寄って話かけてきた。スカート姿は、可愛くて似合っている。
「優君、、だよね?もう大丈夫だよ」
「愁君?」
僕のよそよそしい態度に気づき、心配そうな顔をする。
「愁くーーーーーーーーーーーーーーん!」
遠くから駆け寄り、凛君が抱きついてくる。凛君も、スカートで、よく似合い、かっこよかった。
「心配してたんだから!」
「ははは、、、凛君、、だよね?」
凛君が、不思議そうな顔をして、響君の顔を見つめる。
「実は、話しておきたいことがあって、、」
響君は、僕の記憶喪失について丁寧に二人に説明をしてくれた。
「そっか。俺のこと覚えてないのか、、」
凛君が残念がっている。
「ごめんね、、、」
「なんつって!俺のこと、絶対に思い出させてやるからな!こんなに仲良しなんだから!」
凛君は、笑って僕の肩を組む。
その顔を見て、凛君との記憶を少し取り戻せた気がする。
「愁君が無事ならそれでよかったよー」
優君が、優しく微笑んでくれる。
「ありがとう」
僕は、いい友達に囲まれていたんだと思う。
「僕は、違うクラスだから、二人とも愁君のことをよろしくね。」
「まかせろ!」
「うん。」
響君が自分のクラスに戻って行く。僕は、不安ながらも自分の席につく。周りの同級生の制服は、スカート姿とズボン姿が丁度半分半分だった。みんな、自分に似合うように着こなしている感じがする。席順は、僕の前には、武藤君がいて、横には藤澤君がいたのを覚えていたけれど、武藤君の前に優君、藤澤君の前に凛君がいたことは覚えていなかった。
なぜだか、記憶にあいまいなところがある、、、
凛君が、ずっといろんなことを話かけてくれる。部活のこと、僕が休んでいた時に起きたことを教えてくれる。凛君との話に夢中になっていた頃、武藤君が教室に入ってきた。武藤君は、僕と同じズボン姿だ。
「事故ったって聞いたけど、もう大丈夫なのか?」
武藤君が心配そうに話かけてくる。
「うん。心配してくれてありがとう。」
「当然だろ!恋人なんだから!」
「えっ、、、」
僕は、驚いて凛君の顔を見る。
「勇!調子に乗んなよ!」
「わりぃーー冗談だ!回復してよかったな!」
笑いながら、僕の髪をくしゃくしゃする。
武藤君ってこんな人だっけ、、、、
しかも僕と恋人だなんて、冗談でも言うような人ではなかった気がする、、
いや、言ってたのかなぁ、、、、
なんだか、記憶が混乱している、、、
「おはよう。もう平気なのか?」
混乱してる中、ふいに藤澤君が僕の目をじっと見つめて話しかけてきた。
藤澤君も僕と同じズボン姿だ。
「うん、、だい、、じょう、、ぶ、、」
「よかった。もう心配かけんなよ。」
「ごめん、、」
僕の鼓動は、はじけそうになる、、、
「愁君、顔赤いけど、大丈夫か?」
凛君が僕に言う。
「うん、、、大丈夫、、」
「愁は、俺と久しぶりに会って照れてるんだよな!」
武藤君がニヤニヤと笑っている。
いつもと同じ学校の風景なのに、どこか違う、、、
クラスを見渡すと、恋人同士のように仲良く話している人もいる。
僕は、気づくと藤澤君を見つめていた。
「ほんとに大丈夫か?」
心配そうな目で見つめ返してくれる。
「だい、じょう、ぶ、、」
みんな、どこまでも優しかった。
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