第288話 雷撃の襲撃
そして、翌日。俺たちは宿屋を出た。
ライカとの約束の場所に俺たちは向かっていた。
「それにしても……なんであの人、ここにいるんだろう?」
ミラが俺も感じていた疑問を口にする。確かに、ライカはなぜ、この世界に来ているんだろう? というか、どうやってきているんだ?
ホリア達からもライカがアッシュを探しに行ったという話は聞いていない。
「言われてみれば……確かに不思議ですね」
「……そもそも、あの人、本当に信用していいわけ?」
メルも怪訝そうな顔でそう言う。といっても、ライカ以外に魔王の城への道のりを知っていそうな情報源を俺は思い当たらないのだが……。
「私は信じてもいいと思うが?」
リアだけが純粋そうな表情でそう言う。まぁ、ライカに会ってみればわかる話である。
微妙な不信感をいだきながらも、俺たちはライカと待ち合わせした街の外れまでやってきた。
「お! 来たな!」
少し離れた場所にライカがいた。大きく手を振りながらこちらへやってくる。
「ライカ……本当に待っていてくれたんですね」
俺がそう言うと、ライカはキョトンとした顔をする。
「あ? 当たり前だろ? これから行くんだろ? 魔王の城に」
「え、えぇ……でも、一つ聞いていいですか?」
「なんだ? なんでも聞いてくれよ」
「その……ライカはどうしてこの場所にいるんですか? アッシュを探しに来たんですか?」
俺がそう言うとライカは少し黙ったあとで、ニカっと微笑む。
「あ~……理由を言うのは結構面倒なんだよなぁ……。少しここから離れた場所で話すのでもいいか?」
なぜ街から離れないといけないのか、理由を知りたかったが、俺それを聞かずに小さく頷いた。他のメンバーも納得してくれたようである。
「よし! じゃあ、こっちに付いてきてくれ」
ライカに言われるままに俺たちは街から離れて歩き出した。少し離れた……と言っていたが、かなりの距離を歩いた気がする。
「……ちょっと。あの人、いつまで歩くのよ?」
メルにそう言われ俺もさすがに疑問に思った。俺は少し前を歩くライカに駆け寄っていく。
「えっと……ライカ? まだ歩くのですか?」
俺が訊ねると、ライカは立ち止まった。
「……あぁ。そうだな。もうそろそろここなら問題ないだろう」
と、辺りにピリッとした静電気のようなものが感じられる。
「俺がここにいる理由……だったよな?」
と、徐々にライカの髪が雷のように金色に変わっていく。辺りにバチバチと明確に電気が迸っていく。
「アスト君!」
背後からミラの声が聞こえる。
「来ないで下さい!」
俺は皆が来るのを静止した。すでに、ライカの髪の色は……輝く程に金色になっており、周囲にバチバチと電撃を放っている。
「俺がここにいるのは……お前を倒すためだよぉぉぉ!!!」
そう言うが早いが……雷撃を放ちながら、ライカは俺の方に飛びかかってきたのだった。
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