第223話 再生
「えっと……それでホントに大丈夫なんですか?」
強くなることを決意したリア。
そして、それに対して何故かメルは時間をかけずにそれができると言い出したわけだが……俺にはどのようにして時間をかけずに強くなれる修行を行うのか、まるでわからなかった。
ただ、メルはこれから、どんなに厳しい修行をしてもリアは大丈夫だと、自信満々で言い出したのである。
「えぇ。問題ないわ。私が『リジェネレイト』の魔法を使っている間はね」
確かに先程、メルはリアに対して何かしらの魔法をかけていた。「リジェネレイト」……あまり聞いたことのない魔法である。
「えっと……『リジェネレイト』とは?」
「簡単にいえば、私の魔力がある限り、リアは永遠に回復し続ける魔法よ」
「え、永遠に、ですか? それは……すごいですね。そんな魔法も使えたんですか」
「まぁ、私、特別だし。でも、これ、使っている間は『リジェネレイト』しか使えないし、魔力もどんどん減っていくから使い所がない魔法だったのよね」
「……ですが、たしかに無限に回復するのならば、多少は怪我をしても修行を続けることができますね」
「えぇ。それにこの修業で使うのは木刀でしょ? そこまで怪我はしないはずだから、もってこいの魔法ってわけ」
そう言ってからメルはリアの方を見る。
「で、いいわよね? リア、こういう感じの修行で」
「あ、あぁ……しかし、一つ聞いていいか? その……無限に回復するってことは、修行もいつまでも続くってことか?」
さすがに無限という言葉が恐ろしく聞こえたのか、リアは不安そうにメルに訊ねる。しかし、メルは笑顔でそれを否定する。
「大丈夫。私の魔力が切れるまでだから。終わりがないっわけじゃないわよ」
「そ、そうか。それなら問題ないな。では、アスト。本気で来てくれ!」
そう言ってリアは木刀を構える。本気、と言われてしまうと、俺も力を出すしかない。
腕輪の力を最小限引き出す……といっても、おそらく今のリアの状態ではその速さや力に追いつけないはずである。
「……えぇ。では、行きますよ」
それから、修行は始まった。俺の予想通り、リアは腕輪の力を引き出した俺の速さ、力についていけなかったために、木刀で身体を傷つけるハメになった。
しかし、「リジェネレイト」の魔法は瞬時にその傷を回復する。おまけにリアは元々、怪我をしてもすぐに治癒する体質の持ち主……木刀での打撃など、瞬時に回復してしまうレベルであった。
だからこそ、リアも最初の方は嬉しそうにしており、修行に対してもやる気を見せていたのだが……。
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