第82話 古城
「はい、到着~!」
ミラの転移魔法であっと言う間に俺達はリアの指定した場所についてしまった。
「……アンタ、転移魔法も使えたのね」
メルが感心した様子でミラのことを見る。そう言われるとミラは得意げな顔でメルを見返す。
「まぁ、一流魔法使いだからねぇ~」
「……別に否定はしないわよ」
そんなやり取りをしているミラとメルとは別に、リアは完全に真剣な雰囲気だった。
ミラの転移魔法でたどり着いた場所は、どこか物悲しい場所だった。辺り一面の木々は枯れており、生命力というものを感じることができない。
それこそアンデッド系の魔物が潜んでいると言っても納得できるような風景の場所であった。
「……とりあえず、私に付いてきてくれ。案内する」
リアに言われるままに、俺達は歩き出した。辺りにはカラスが不気味に鳴く喚いており、時折、コウモリが飛びだしていた。
「なんか……こう……雰囲気あるわね」
「あの……メル?」
「え? 何よ?」
「……あまりくっついて歩かれると、歩きにくいのですが……」
俺が指摘すると、メルは少し恥ずかしそうに頬を染めて俺から離れる……といっても、やはりどことなく、メルの距離は近いようなのであった。
「ヒーラーさん、アンデッド駄目なわけ?」
ミラがニヤニヤしながらそう言う。すると、メルはむしろムキになったようにそれを否定する。
「そんなわけないでしょ! ただ……こういう不気味な感じが駄目なだけよ……」
……確かに、メルは別にあのゾンビの大群を見ても別に怖がっている感じはなかった。だから、アンデッドが苦手というわけではないのだろうが……
「着いたぞ」
と、俺達がそんなことを話していると、リアが立ち止まった。
「ここが……アーカルド家の根城……アーカルド城だ」
目の前に現れたのは……それこそ、巨大な怪物用に不気味に聳え立つ、巨大な古城なのであった。
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