第40話 予感
ダンジョンに突入したはいいのだが……やはりかなり厳しい状況だった。
襲ってくるモンスターは俺やリアよりレベルが高いので、当然、攻撃も激しい。
ダンジョンの第一層でさえ、満足にモンスターを一体倒すのはかなり厳しかった。
ただ、俺とリアがダメージを食らっても、その瞬間にメルが回復してくれるので、ダメージを喰らいながら全回復しているという謎の状況のままに俺とリアはなんとかモンスターを倒し続けた。
そのおかげで俺とリアは死ぬことはなく、第一層を制覇し、第二層へと向かうことができた。
「はぁ……しかし、大変だな、これは……」
リアには珍しく少し疲労しているようだった。実際、俺も疲れている。
「大丈夫ですか、リア? でも、俺達今レベル結構上がったんじゃないですか?」
「あ、あぁ……このダンジョンに入ってからレベルが5もあがったぞ」
そう言ってリアは俺に冒険者証を見せてくれる。確かに、リアのレベルは25になっていた。
……というか、リア、俺と狩場に行っていたときよりレベルが上がっているな。自主的にレベル稼ぎをしているようである。
「すごいですね……俺も、今レベル15です。これ、俺がレベル20くらいになれば結構楽になるんじゃないですか?」
「そうだな……それまでは、なんとか我慢だな」
リアはそう言ってメルのことを見る。
「おい、メル。このダンジョン、階層はいくつまであるんだ?」
「4階層よ。4階層目がボスフロア。だから、実際には後2層クリアすればボスにたどり着けるわ」
「……よし。では、一気に攻略しよう!」
リアは言葉通り、そのまま一気にダンジョンをクリアしようと快進撃を続けた。俺もそれに追随する形でダンジョンの奥深くに進んでいく。
しかし……それと同時にどこかで俺は不安を感じていた。
なんだろう……メルの言う通りのレベルのダンジョンなので簡単なのは当たり前なのだが……この分だとボスも簡単に攻略できそうな気がする……
いや、そもそも、このダンジョンは……なぜ未だに攻略されていない?
ダンジョンのモンスターのレベルは、ボスのレベルに依存している。だから、このレベルのモンスターがいるダンジョンなら、とっくにボスが攻略されているはず。
それこそ、メルに連れて行かれた特殊な状況のダンジョンは別として、このダンジョンには未だにモンスターが大量に存在し、ダンジョンとして機能している。
「……大丈夫なのか? このまま行って」
俺は思わず自分でそう呟いてしまった。しかし、そうは思いながらもメルの仲間たちを救うために俺達はダンジョンの最奥へと向かっていった。
まるでそれは、焚き火の中に飛虫が自分が入っていくようなものであったことを知らずに……
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