第38話 いざ、出発

 無論、メルに反対された。そのダンジョンが低レベルとはいえ、リアのレベルでは足りないのだから、同行させることはできない、と。


 しかし、俺はリアを同行させることを譲らなかった。俺としてはリアも仲間なのだし、ようやくパーティで冒険に出ることができると思ったのだ。


 まぁ、ミラは未だに怪我が完治していないそうで、一緒に行くことはできなかったが……それでも、ようやくまともにパーティでの行動ができそうだということで、俺も少し嬉しかった。


 もっとも、今から俺達はメルの「元仲間」を討伐しに行かなければならないのだが。


 街を出てから、メルの案内でダンジョンへ向かう。あまり遠い場所にあるというわけでjはないようだった。


「しかし……本当にまだそこにいるのか?」


 と、ダンジョンに向かう途中、リアはメルにそう聞いた。


「……どういう意味?」


「いや。もし、他の冒険者がその……ネクロマンサーを討伐することができていた場合、その……メルの幼馴染達は開放されているんじゃないのか?」


 ……確かにリアの言うことも一理ある。すでにかなり前のことのようだし、他の冒険者が


 ネクロマンサーを倒すことができているかもしれない。


 ただ、それは同時にネクロマンサーが、メルの友達を未だに操っているという保証がないということだ。


 メルは黙ってしまった。黙った……というより深く考え込んでいるようだった。リアが気まずそうに俺の方を見る。


「……そうね。でも、確認したいの」


 メルははっきりとそう言った。リアはメルがそんな表情をすると思っていなかったらしく、意外そうな顔で驚いている。


「そ……そうか。そういうことなら協力しないとな」


 リアも納得してくれたようだった。俺達は一抹の不安を感じながらも、メルの案内でダンジョンに向かったのだった。

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