第16話 規則正しい生活

朝かぁ、今日は患者さん来るかなぁ。

もしかしたら、もう誰も僕の所なんかに来ないかもしれない。

そう言えば、治療費の相場をマリアさんに相談しそびれたな。

でも、患者さんが来なければ、その必要も無いか。

そんな事を考えながら、有るもので軽く朝食を取る。


でもそんな僕の考えは徒労に終わった。

今日も朝早くから患者さんが訪れ、

ようやくマリアさんのお弁当を食べたのは2時を回っていた。

どうやら、昨日来た患者さんの噂を聞いて、やって来た人も多いようだ。


「先生、診察時間を決めましょう。

休診日も。そして表に張り出しておくんです。」


「でも、患者さんを待たせる訳にはいかないし、

具合の悪い患者さんを、次の日まで我慢させるのはちょっと……。」


「そんな事を言っていたら、先生の方が体を壊しちゃいますよ。

そうなったら患者さんは、また時間をかけて、

遠くの院に行かなければならないのよ。

それこそ患者さんが気の毒よ。

そうならない為にも、ちゃんと規則正しい生活を送り、

先生の体の健康管理もちゃんとしましょう。」


そう説得され、僕はマリアさんと時間を相談し、

時間の書かれた紙を、入り口の良く見える所に張り出した。


【いらっしゃいませ。

当院の診察受付時間は9時から12時・14時から16時となっております。

なお、日の日はお休みですのでよろしくお願いします。

◎急患の方は時間外でも診察します。遠慮せず来院下さい。】


「これで良し。」


入り口の張り紙を見ながら、訳もなく達成感を覚える。

今日は金の日。休診日は二日後だ。

これと言ってする事も無いけれど、

休みと聞くと、なぜかウキウキしてしまう。

お休みの日には何をしよう。

マイケルさんにお願いして、森の中を探検したいな。

洗濯物をしなければと思っていたけど、

どうやらマリアさんがいつの間にか片付けてしまっているようだ。

本当に申し訳ない。

それなら休みの日は、改めてお礼に行った方がいいな。

でも、いつ急患があるか分からないから、

外出する時は僕の居場所が分かるようにしておかなければならない。

出掛ける前に、僕の行き先を張り出しておけばいいかな。

そう、つらつらと考える。


次の日からは、規則正しいスケジュールで診察することができた。

朝9時に診療所を開ける。

その為に早くから来て並ぶ人が減った。

12時には午前中の受付を打ち切り、

13時頃にちょっと遅いけれど、お弁当を食べる。

その後、少し休憩して14時から午後の診察を開始し、

16時には午後の受付を終了、17時頃にはその日の診療が大体終わる。

その後、診察室を片付けをし、ようやく1日のすべての仕事が終了する。

そして、夕食をいただくため、マイケルさんの家にお邪魔する。


「やっぱり規則正しい生活は、気持ちも楽だな。」


土の日の夜、そう独り言を言いながら、ベッドに入ろうとすると、

呼び鈴が何度も鳴らされる。


「もしかして急患!?」


僕は慌ててドアに向かった。


「どうかしましたか!」


僕は慌ててドアを開くと、そこにはライアスさんが立っていた。

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