母に捧げる蜂鳥の唄
「ッッ、ココココ……素晴らしい。素晴らしい」
再度落とされた『ケラウノス』を、巨神がただの平手打ちで消し飛ばす。
ワラワラと走って来るゴーレムの軍勢に大剣を構え。
「――薙ぎ払え」
――瞬間、前方1㎞の森林地帯が禿げ飛んだ。
大地がめくれ上がり、穴の空いた山が麓から切り飛ばされ宙を舞う。
ゴーレムの軍隊?あんなガラクタものの刹那で木端微塵に砕け散った。
巨神は全身に巡る膨大な魔力を、構築されたデータにより自己判断で使うことが出来る。
簡単な土魔法で武器を造り、身体に纏えば東条の1撃すら防ぎ、大剣に纏えば余波で地表を抉り飛ばす。
ノエルが絶えず同行させていたADは、言わば実験機。
『同胞』から自分を守護し、且つ『殺す』ことの出来るゴーレムを作るため、撮影と同時に、運動能力、自己判断能力、魔力回路の効率化など、あらゆるデータを収集させていたのだ。
……全てはこの時のため。
濡れた純白の髪を靡かせ、ノエルは巨神の肩に飛び乗る。
土埃を突き破り上空に飛び出すカロン。
「ッコココココッッ、っ⁉︎⁉︎」
素早く感知した巨神が、ドンピシャで大剣を振り抜いた。
直撃、とんでもない速度で吹っ飛んだカロン、
の落下地点を予測しノエルが手を翳す。
「『ロゼ』」
「――ッ」
罅が入ったカロンの全身を荊が這い締め付け、同時に巨神が大剣を振り被る。
心底楽しそうに頬を歪めるカロンの周囲の雨粒が停止、突風と共に収束、
「『
――解放。
散弾の如く飛び出しだ大量の水滴が、落下途中の大剣に無数の穴を空けへし折る。
巨神が片腕を硬化、全弾ガード、地面に大剣を突き刺し修繕、
するよりも速くカロンが片手を地面に叩きつける。
『
途端大地が熱解、マグマ化し巨神が足を取られよろめいた。
「――っ」
肩からノエルが飛び降りる、と同時に――大噴火。60mの巨体が宙を飛ぶ。
――隙、カロンが踏み込み跳び出、
すよりも速くノエルが着地と同時に両手でマグマを叩いた。
「コ、ォ⁉︎」
瞬間、マグマを呑み込み咲き誇る満開の花畑。
端で揺れる1輪に至るまで、その全てが極彩の食人花。
歪な棘の牙を剥き出しにし、数万本の草木花卉がカロンに襲い掛かった。
切っても千切っても燃やしても凍らしても無限に湧く植物地獄。
その時だった。
「――ッ」
カロンは地に気を取られすぎた。故に遅れた。……天に打ち上げた、巨神の矛に気づくのに。
バカげた質量が、加速し、更に全体重をかけた大上段からの一撃。
――眼前に迫る隕石の如く赤化した大剣の刃に、植物に巻き付かれたカロンはただ見惚れ、感嘆し、
……
インパクト。
地割れが走り、島諸共吹き飛んだ。
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