第753話 進みすぎた文明の終わり

『それにしても……下らんな』


 神を名乗るシャムはそう言って砲台を一瞥した。


「下らないって……じゃあ止めてくださいよ!アレを!」


 思わず叫ぶ誠にシャムは笑いかけた。いつものシャムの無邪気さのかけらも感じさせない老成した笑顔に誠は背筋が凍るのを感じた。


『ワシに指図する気か?』


 そう言いながら見つめてくるシャムの目つきは誠にとって想像上の悪魔のそれだった。


「でも!できるんでしょ!そんなに人を見下すような目で見るんだから!」


 誠の叫びを聞くとシャムは静かにうなづいた。


『当然……止める。たやすいことだ』


 そう言った次の瞬間、シャムの機体が突然消えた。


『なにが起こってるんだ……』


 カウラがそうつぶやいた瞬間、エネルギーをチャージ中の砲台が真っ二つに割れた。


『空間転移……見事なもんだな……吉田の野郎の見込み通りってことか』


 そんなランのつぶやきで誠はシャムが砲台の中に転移して暴れまわっているさまを想像した。


「そんなことが……干渉空間を展開してもいなかったですよ」


『空間転移くれーならアタシもできる。敵に手の内を見せたくないからやらないだけだ。それに奴は『接触破砕』が使える……勝負になんねーよ』


 ランはそう言って砲台を見つめていた。


 砲台は次々と火を噴き瓦解していく。


『インパルスカノン……神様相手じゃ分が悪いだろうな……だがその持ち主が回収に来てるぜ』


 かなめはそう言うと誠の機体に拡大した画像を送ってきた。


 数隻の巡洋艦クラスの艦からなる艦隊である。


「どこの艦隊ですか?あれは?これの持ち主ってことは東和宇宙軍……」


『国籍不詳、正体不明の艦隊よ!どこのって……ネオナチの残党軍……」


 誠の言葉を遮ってアイシャがそう叫んだ。


『あのクラスになると艦載機は100機を超えるぞ』


 ロナルドの言葉に誠は崩壊する砲台から脱出してきたシャムの機体にすべてがかかっているということに気が付いてため息をついた。

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