第59話 植物の壁

 翌朝、サーイはイウカーマへ向かうことにした。


「サーイさん、頑張って!」

「……さっさとやっつけてこい。これ以上協力したくない」

 イサキスとアシジーモがそう言うと、カルザーナが、

「何よ、あなたたち、ここでのんびり待ってるわけ?」


「えー、ぼぼぼくなんか、ぜんぜん戦力になりんせんですかららら……」

「おい、これって一応、主人公最強ものだろ? ガイトゾルフのくせに一人で来やがって……コイツ一人でなんとでもなるからじゃねぇか?」


「言い訳はヤメ! 一度協力したのなら、最後まで協力を惜しまない。それがマジック・ローダーの信念だ!」

「そんな信念あったけな……ぶつぶつ」

 と二人は言いながらそれでも、4人で一緒に向かうことにした。



 ところが、イウカーマに向かうにつれて、辺りの様子が異常な雰囲気になってきた。

 何やら、蔓植物みたいなものがいっぱい生えている。そして、動いている。


 奴らは、こちらの様子をみているが、攻撃してくる様子はない。

 念のため、ソルブラスで確認してみる。

 ……青。

 やはり、善の魔物である。


「うわ、こいつらうっとおしいし、気持ち悪い……、サーイさん、なんとか追っ払ってくださいよ」

「ダメだイサキス、善の魔物へ攻撃すると……」

「悪の魔物よりひどい目に遭う。絶命させればその人の心は荒む、でしたよね、アシジーモさん」

「この女、毎回俺の言おうとすることをカブらせて来やがる……」


 蔓植物の魔物は、イウカーマに近づくほどに、数が増え、辺り一面蔓まみれになってしまった。

「ダメだ! これ以上は進めない。サーイ、何か良い方法は……」

 とカルザーナが聞いてきたが、

「ごめんなさい、私には何も…………あっ、あります!」

「何だ?」

「この蔓植物には見覚えがあるんです。もしかしたら、あの人が知っているかも……」

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