第34話 投獄するMagic Loader

 その悪夢の声のヌシおれは、その場でベルツェックルとその取り巻きに取り押さえられ、そのまま、王宮の裏口にある地下牢に連れて行かれた。


 ああ、俺みたいなやつでも王宮入れたじゃん、って感心している場合ではない。



「囚人番号256、中に入れ!」

 うわ、そんなにいるのか、似たようなことして捕まるやつがいるもんだ。


 牢屋に入ると、先客が2人いたので、何で捕まったのか聞いてみた。


 囚人番号60の人曰く、

「俺らが捕まったのは……寒い夜だった。あんまりに寒いので、火を起こそうと思ったが火種もない。そこにガノゼ(炎系の魔物)が通りかかったんだ。そいつに火を起こしてもらったんだ」

 もう一人の囚人番号61が続けた。

「そいでもって、暖をとっていたら周りに燃え移って火事になりそうだったから、これまた通りかかったワナボ(水系の魔物)に消してもらった。火事になったから見回りがやってきて……魔物に助けてもらうとは何事かと。あとはご覧の通りさ」


 60氏と61氏は、他にも捕まっている人らがなんのかどで捕まったか話してくれた。

「魔物から飲み物を提供されて、飲んだ」

「家の中にペットとしてスライムを飼っていた」

「美味しそうな木の実をもらったが食べきれなかったので、そのへんにいた魔物にあげた」

「子どもが作文で『にんげんは まものより へんだと おもいます』と書いた」

「マジック・ローダーからのルートを避けて、魔物から魔法を呪胎して貰っていた」

「酒場で『ガイトゾルフってどう選んでんだ? コネか?』という会話をしていた」

「国を一つ滅ぼすほどの危険な魔法を密造していた」

「魔物の討伐に反対する声明を出した」

「外でドラゴンと遊んでいた」

 うわ、最後のやつなんか俺あぶねぇや、バウザスを町に寄せ付けないでよかったー、あやうく捕まるところだっ……捕まってるんだよ!


 ああ、バウザスのやつ元気かなー、絶対俺のこととか忘れてそうだー、くそー!

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