第5話

 翌日、美化部で三人が集まると。白花が仕入れてきた。北斗のメンバーの分析を始める。


「まず、海戸さんだが、サイボーグ巨大クモの使い手であり、昨日あれだけ気持ちよく快勝したので大人しくしているだろう」


 海戸さんだが見た目はそこそこ良いが。やはり、器が小さい印象である。


「次の璃々さんだ、これが姉ちゃんと正反対の性格に使う召喚術も氷属性です」


 簡単に言えば計算高くてクールビューティーである。嫌いなモノは徹底的に潰すタイプだ。


「噂では『絶対正義』を嫌っているとか」

「やりにくいな」

「はい、裏の『北斗』の会長と言われ。その実力は姉ちゃんと同等かと」


 白花は璃々さんの話に入ると厳しい面持ちになるのであった。


「更に『北斗』会長の『筒本 陣』さんは五芒星の一人です」


 五芒星はこの学園の代表的な存在として選ばれた人達です。ちなみに、わたしも五芒星の一人ですが実感はありません。


「陣さんは鉄の召喚術の使い手で、またの名を『鉄巨人』です」


 うぁ~強そうだ。わたしが頭をかいていると輝夜さんが麦茶を用意してくれました。ありがたく、麦茶を頂くと。


 輝夜さんの不思議な気配を感じます。白花も首を傾げています。

……?


 あれ?普通だ……やはり、気のせいだったようです。そんな事より、今日の課題だ。だから……筆記は苦手なのです。


「姉ちゃん、また、僕を頼るの?」

「えぇ、頼ります」


 わたしは麦茶を飲み干すと、気合を入れて課題に取り組みます。


「どうぞ、麦茶のおかわりです」


 輝夜さんが麦茶を優しくコップに注ぎます。これからの季節は冷えた麦茶に限ります。部室の外には初夏の日射しが降り注いでいます。今日も暑くなりました。


 休みの日にタンスの整理をしていた。もう着れなくなった服を捨てようと思う。

一番下にあったのは青い油性ペンで書かれている『絶対正義』のTシャツだ。これはわたしの『絶対正義』のプロローグである。


……―――。


 ある夏の日の事でした。大型の台風がわたしの街に近づいていた。わたしは両親と共に避難所に来ていた。幼い頃から鍵っ子のわたしの友達は野良猫のチビであった。ラジオから流れる緊急事態にわたしは野良猫のチビを助けようと避難所を抜け出していた。


 少し離れた所にある、崖の下の小屋に暴風の中を一人で進む。小屋に着くとチビが鳴いていた。うん?崖の様子がおかしい。上の崖が崩れそうであった。わたしは恐怖から動けなくなっていた。


「炎華ちゃんだね?」


 うごけなくなったわたしに声をかける若い男性が小屋に入ってくる。その瞬間に岩が転がり落ちて小屋を直撃する。若い男性がわたしをかばってくれて無事でいた。その男性は壊れた小屋の材木で大ケガをしていた。


「大丈夫か?」

「はい……」


 その後で何人もの大人が来て助けてくれた。避難所にチビを連れて戻ると両親は泣いていた。その夜の事は、それ以外はよく覚えていない。


 翌日。


 台風が去り、嵐が収まると。腕に包帯をしたわたしの恩人が顔を見せてくれた。その人は隣町の職員さんであった。


「小屋が潰れてしまったね、その猫は僕が面倒みるよ」


 優しい声でわたしに話しかける。


「うん、大切にして……」


 わたしは家に帰ると、Tシャツに『絶対正義』の文字を書く。それは決意表明であった。こんな時代でもわたしの為に命をかけてくれた人がいたことの決意表明。


 その後すぐに親の仕事の都合で引っ越す事になった。名前も知らない隣町の職員さんには、その日を最後に会う事は無かった。でも、わたしの『絶対正義』は変わらなかった。


……―――。


 うん?どうやら疲れてベッドで寝てしまったらしい。横にあるのは小さなTシャツの背中に『絶対正義』の文字……。わたしは小さなTシャツをしまう。


 あの日に誓った事はは変わらない。わたしの『絶対正義』の生き方は不変である。

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