第3話

 遅れた、遅れた。


 わたしはダシュで高校の正門に入ろうとすると。背の高い女子生徒が竹刀を持って仁王立ちをしている。胸には『北斗』のバッチが光っていた。あちゃ~待ち伏せだ。


「わたしの名前は『前野 璃々』知っての通り『シャドーカード』を狙っている。君は有名人だからこうして挨拶に来た」


 どうやら、わたしが五芒星である事を知っていての事らしい。


「分かりやすく言えば決闘だ」


 ま、一限をふける理由にはなるな。


「璃々さんでしたね、校舎裏の空き地でどうだ?」

「慌てるな、君は五芒星に入る炎術使い、今日は挨拶だけだ」


 璃々は竹刀を振り上げていかくしてくる。わたしが炎術召喚を武器にしている事がバレているなかでのいきなりの決闘は不利。


 しかし、『北斗』の璃々で噂を探せば相手の攻守が解るはず。


「いいのか?わたしに時間を与えて」

「大丈夫だ、わたしは強い」

「なら、話は終わりだ、一限に出席する為に急いている」

「ふ、『絶対正義』は噂通りだ」

「勘違いするな、わたしは強くなりたい、一限の授業と『絶対正義』は関係ない」


 璃々は竹刀を降ろすと校内に入って行く。


去りぎわに。


「コツコツと強くなりたい……それも見方を変えれば『絶対正義』だ。わたしのライバルに合格だ。五芒星の力は凄い、何度でも挑戦してやる」


 璃々は昇降口とは違う方向に歩いて行く。この前の『北斗』の男子とは格が違う。これが本当の『北斗』の威厳か……。


 おっと!


 一限に間に合うように走りだすのであった。


 わたしは放課後に美化部の部室でまったりしていた。何故か、白花が座っています。


「白花、学校は?」

「つまらないから抜け出してきた」


 白花の学力は高校生並みです。時々、課題を見て貰っています。わたしが『絶対正義』と言おう思うと。


「この学園は実力主義です。固い事は言わないで下さい」


 輝夜さんがわたしの気持ちを察してくれました。


「では、口の堅い輝夜さんの代わりに『シャドーカード』について教えてよ」


 わたしは白花に『シャドーカード』につて調べておくように頼んでおいたのである。


「仕方ないな……『シャドーカード』は神々の影であり、この世界での神々の象徴です。つまりは、神々をこの世界に召喚するのは不可能とされ、影としてしか存在しません。また、神々の力の塊であり召喚術の対価として使われます」

「それは思い出の具現化など出来るのか?」

「姉ちゃんでも出来るかと」

「そうか……」


 炎の召喚しか能のないわたしにでも特殊な召喚術が可能なのか。


「強き力か……」

「ダメですよ、この『シャドーカード』は大切なものです」


 物欲しそうに輝夜さんを見てたらしい。『絶対正義』となる想いの具現化……。わたしは気合を入れ直そうとジュースでも飲む事にした。


「少し、自販機に行ってくる」


 頭をかきながら、美化部の部室を出る。不意に空を見上げると薄い雲が天高く流れていた。まだ、夏になるには時間がありそうだ。


 わたしは自販機の前で考え込みます。どろり濃厚プリンジュースかスカッとサイダーに迷うのです。真ん中を取ってミルクティーにしました。勢いよく飲んでいると甘さが口の中に広がります。不意に通りがかりの女子生徒と目が合います。脅えた様子の女子生徒に挨拶します。


「『絶対正義』の人だ!」と叫んで逃げていきます。


 わたしの代名詞が『絶対正義』であることは喜ぶ事なのですが、何故逃げる?こんな時代だから『絶対正義』が万人にウケるとは考えていませんが逃げる事はないでしょう。わたしはブツブツ言いながら、美化部の部室に戻ります。


「ただいまー」

「ずいぶんと時間がかかりましたね」


 輝夜さんが心配してくれました。


「どろり濃厚プリンジュースかスカッとサイダーに迷っていたのです」

「真ん中を取って抹茶ソーダなどどうです?」


 輝夜さんは真面目な顔をして答える。わたしの真ん中を取ってミルクティーも謎だが抹茶ソーダもかなり謎だ。


「え、ぇ、まあ、ミルクティーにしたよ」


 たどたどしく返事を返すと輝夜さんは古い書物を開いて読み始める。そうだ、課題をこの部室で済ませるつもりであった。幸い、白花もいるし。わたしは白花の前ではプライドなどなく、基礎の問題でも解らなければ聞くのであった。それから、課題が終わると輝夜さんが校内のゴミ拾いに行きたいと言います。


 ここは美化部でした。美化部の活動を見ようとわたしも付いて行く事にしました。

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