第283話 コマーシャル入りま~す!
パンツ一丁の男が廊下を一人で走っていた。
そう、それは着ぐるみを脱いだタカト少年であった。
タカトはトイレから飛び出すと、ケテレツに追いつかれないように懸命にダッシュしていたのであった。
――おいおい、タマホイホイはどこだよ。
しかし、お目当てのタマホイホイの在処は全く見当がつかない。
今のタカトはただ、あてもなく廊下を走っているだけだったのだ。
走りながら壁や窓といった所を見回すが、タマホイホイは見つからない。
そりゃそうだ、やみくもに探して無くした物が簡単に見つかるのなら、
――そういえば、あいつ……タマホイホイはソフィアが持っているとかって言ってたな。
ならば、簡単なことではないか。
そのソフィアを探せば万事解決なのである。
――俺って天才!
そうと分かれば、ソフィアのところへレッツゴー!
――早くタマホイホイを回収しないと!
タカトの気持ちだけが妙に焦っていた。
――あれの正体がバレようものなら、俺の天才としての評判が……
うん? 天才? だれが?
もしかしてタカト君の事?
自分で言っちゃう?
言っちゃうのぉ~
ぷっwww
まぁ、そんなことはどうでもいい。
というかこの先、タマホイホイの正体の事で、権蔵やビン子にずっといじられるのだけは避けたいのだ。
毎朝、毎朝、食事のたびに、権蔵がにやにやしながら言うのである。
「ティッシュはちゃんとごみ箱に捨てたのか?」
その横で、ビン子がまるで汚いものを見るかのような目で見るのだ。
「ちゃんと手、洗った?」
こんな事が永遠に続くようでは正直たまったものではない。
想像しただけでも憂鬱になる。
しかし、タマホイホイをソフィアが持っていることが分かったとしても、肝心のソフィアがどこにいるのかが全く分からない。
――これは困った……困った……コマーシャル……
はい! コマーシャル入りま~す!
この~気♪ 何の気! きになる気♪
見たこともない気ですから~♪
いや、この気はどこかで感じたような気がする!
「忙しそうじゃな!」
急にタカトの背後に現れた気は、女の声を発した。
!?
それも若い女! というよりも、子供か?
走り続けながらタカトは、勢いよく背後を振り向いた。
「お嬢さん! こんなところでどうしました!」
そして、その声の主へとラブコール!
タカトは、前髪を手で掻き上げながら、背一杯格好を決めた。
――フッ! 俺ってイケてる!
しかし、今のタカトの姿はパンツ一丁のド変態である。
どんなに恰好をつけようが、変態は変態のままである。
「お前……ついに、暗黒面に落ちよったか……」
年のころ5歳ほどのロリロリ幼女がプカプカと浮いていた。
――暗黒面だと! この野郎!
アッカンベーをきめるタカト君
「ベーダ! まだ俺は
突然止まったタカトが、これみようがしに腰に手を当て振りまくる。
その様子は、まるで某テレビアニメで出てきた野原ひ〇しのおしり剣の逆バージョン!
名付けてち〇こ剣!
ロリロリ幼女の金色の瞳が、まじまじと揺れるパンツを見つめていた。
「そのライトセイバー……小さいのぉ……ちびっこ剣か?」
フゴっ!
痛恨の一撃!
タカトの心に無邪気なる毒息が吐きかけられた!
ピコーン! ピコーン! ピコーン!
瞬時に下がるタカトのHP!
活動限界! シュン↓
タカトの腰の動きがピタリと止まっていた。
こいつは悪魔か?
シス卿か!
いやいや! この幼女、目が金色と言うことは神様なのか。
ロリロリ幼女の神様は、固まるタカトに目もくれず、辺りをきょろきょろと見渡した。
「やっと、あの貧乳女神のやつ、離れおったか!」
貧乳女神とはビン子の事だろうか? いや、それしかないだろう。
だが、今の傷心のタカト君にとってはどうでもいいこと。
ビン子が貧乳なのは今に始まったことではないのだ。
それよりも、自分……
ちびっこ剣って……
――そんなに俺の小さいのか……
どうやら、このロリロリ幼女の神様は、ビン子の気配がなくなったことを確認して、タカトのもとに姿を現したようである。
心が折れたタカトが、涙目で訴えた。
「お前は誰だよぉ! お前のような幼女は知らんわい!」
「あんなに激しく口づけをかわした仲だというのにつれないのぉ……」
「誰の事だよ! 幼女との口づけなんて記憶にないわい!」
「お前! ワシが分からんのか! ミズイじゃよ! ミ・ズ・イ!」
ふっ!
鼻で笑うタカト君!
遂に今、タカトの反撃のターンが始まった!
「お前なぁ、自分の胸見てみろよ。そんなペッタンコでよく言えるな」
タカトは、バカにしたような目で目の前の幼女の胸を指さした。
そうである、ミズイと言えば美魔女のマダム。
胸はエメラルダに引けを取らない超巨乳である。
だが、目の前の幼女は、蘭華と蘭菊と同じぐらい。いや、ビン子とほぼ、どっこいどっこいといっても過言ではないほどの無乳である。
幼女は自分の胸を見つめ、胸のあたりの布をつまみあげた。
「いやぁ、あの時は、そのぉ……キスだっただろ。生気を吸いすぎてな、一気にここまで若返ってしまったのじゃ」
はい?
って……
「吸いすぎって、何やねん!」
――もしかして俺って、必要以上に生気を持って行かれたってことなんでは?
そんなミズイが急にもじもじとし始めた。
「ワシにとっても初めての……だから、ちょっと気持ちよくなってしもうて……」
赤らめ顔でうつむき、もじもじとしている幼女。
なんか萌えるわぁ。
これが、仮にあの老婆の状態でもじもじしていたら、正直辛い!
だが、幼女なら全然OKだ!
といって、もとは、あの老女ですけどね……
「まぁ、いいや、お前、神様だろ。ちょっと手伝ってくれ。探しものがあってな」
「ほう、ワシに頼みごとか! 何でも言ってみぃ! その代わり……また……その……」
また、もじもじし始めるミズイちゃん!
まじで、萌えるぅぅ!
えっ! タカト君、君はロリコンだったのか?
おいおい! 記憶の中の金髪の巨乳女神はどうするんだよ!
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