第37話 激闘?福引会場?(24) ルパン・サーセンでサーセンww

 控室を後にしたビン子は前を歩くタカトに走りよると我慢できない様子で尋ねたのだ。

「ねぇ……タカト……ルパンは一体、何を盗んでいったのか分かる?」


「ああ! 当然! この名探偵どぶ猫ホームズに解けない謎など何もない!」

 そんな、タカトは振り返ることもなく胸を張る。

「すごい! 何を盗んでいったの? ねぇ教えて! 教えてよ! タカト!」

「えっ⁉ 分かんない?」

「全然分かんない! だから、ねぇ!」

「ふっ! ならば、タカト様、この無知なビン子に是非とも教えてくださいませぇぇと頭を下げたら教えてやらんでもないがな!」

「じゃぁ、いい。というか……このくだり超しつこい!」

「そうかwwwwやっぱり~ ならば!仕方ない! 今回は超サービス!このタカト様が直々に教えてしんぜよう!」

「やっぱりいい! なんかここでタカトに教えてもらうとムカつくような気がするから!」

「あ……ごめんなさい……私めが悪うございました……」

「分かればいいのよ! 分かれば! で、なに?」


「そう、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました」

 それは、この世に一つしかない、とても大切なもの……

 ……

 ……

「それはアナタの心です!」

 ……

 ……

 手を組み目をキラキラとさせるビン子。

「ハイ♡」

 大きな声でうなずいた。


 と、思った次の瞬間!

 ビシっ!

 ビン子のハリセンがタカトの後頭部をしばきあげたwww

「てなわけないでしょうが!」

「痛っ!」

 ――馬鹿! 大体、私が好きなのはタカトだけなんだし!

 そんなこともつゆ知らず、鈍感なタカト君は後頭部をゴシゴシとさすり続けていた。

「ルパンが盗んでいったものなんて知るかよ! バ―――カ!」


 では、ルパンは一体何を盗んでいったのであろうか……

 それは、ケーキ屋の主人であるムッシュウ・ムラムラ・エルキュール・アッポォワロと交わした約束。

「俺のチ〇コを守ってくれ!」

 それを叶えるアイテムをお登勢から奪っていったのである。


 お登勢の持っていたもの……?

 もしかして……垂れた乳とか?

 違うぅぅぅ! それではない!


 それじゃ……干からびた肌の角質とか?

 なわけあるかぁぁぁぁ!


 というか、奴隷であるお登勢……所持しているものなど下半身に巻いていた腰巻ぐらいしかないのである。

 残るは、お登勢の体と心のみ……

 その体は今、控室の中でデビルマンレディと化していたのだ。

 ならば、やっぱり盗んでいったのは……お登勢の心だったのか……

「ハイ♡」

 って! いやいや、ルパンはババ専などではありません!


 思い出してほしい……

 お登勢が持っていたもの、いや、お登勢が手に入れたものを!


 そう、先ほど開催されていたアイスダンスショーの優勝賞品!

 「黄金のファウルカップ」!

 だが、その実はプラスチック製のまがい物、ピカピカに輝いているのはただの金メッキなのである。

 だが、それでもファウルカップはファウルカップなのだ!

 チ〇コキラーの初撃は股間をがっちりと掴み取る鷲づかみ!

 その一撃をファウルカップが受けきれば、逃げ出すチャンスも生まれるというものだ!


 だが、その一撃は着ぐるみの上からでも簡単に貫通する……

 やはり、それでも不安というのであれば……

 この「黄金のファウルカップ」を追加オプションで「カネゴンのファウルカップ」にグレードアップ可能なのである。

 ちなみにこの「カネゴンのファウルカップ」の硬度はプラスチックのままなので、防御数値は何ら変わりはしない。

 使えねぇ!


 だがしかし!

 なんと!

 なんとである!

 「カネゴンのファウルカップ」を装着するとその体がカネゴンになるのである!

 すごいだろ!


 変わり果てた姿は、どこからどう見ても魔物そのもの!というか魔物ぉwww

 とても「根アン♥出るタール神」のナンバー1ホストには見えやしない!

 それどころかカネゴンに変身するとチ〇コがなくなるのである!

 信じられないのならググってみろ!

 画像検索でカネゴンを調べてみろ!

 な! チ〇コがないだろwww

 もう、こうなればチ〇コキラーといえどもお手上げでなのであるwww

 そこに本来あるはずの切り取るべきチ〇コがないのだから切り取りようがない!

「俺のチ〇コを守ってくれ!」

 これこそ、この依頼を完ぺきにこなすアイテムだったのだ!


 えっ?

 魔物になっては意味がないだろうって?

 ……

 ……

 ……

 それは気づきませんでしたwww

 どーもサーセンwww


 そして、先ほどタカトをしばいて少々気が晴れたビン子は、会場の出口をとぼとぼと一人歩いていくコウスケの背中をみつけた。

 とっさに声をかけようと思ったのだが、「コウス……」と途中で躊躇してしまったのである。

 というのも何も言わずに離れていくコウスケの手には、赤い布が力なくたなびいていた。

 どうやら、それは商店街のロゴ入りの赤いふんどし。

 そう……それは……6等の賞品……

 6等とは……

 2等のヒョウタンや3等のタンクトップ、4等のアイナちゃんの写真集、5等の肉切り包丁よりもさらに下の賞品である……

 それ!すなわち、カス!

 ハズレとも言う!

 それより下は何もないのである。

 トボトボと福引会場を離れていくコウスケの背中は、なにやら敗北感にまみれ妙に小さくみえていた。

 そんなコウスケが進む先からは、まだ第六の門が鳴らす警鐘の音が鳴り響いているのであった。


 そして、こちらも控室を後にする黒三年生、キメれン組の面々。

 肩を並べてうつむき歩く。

 どうやらお登勢にしこたま絞られて、やっと解放されたようなのだ。

 もう、その姿はまるで先生に怒らた後の学生のように、ちょっと惨めwww


 真ん中を歩くガイヤがぼそりとつぶやいた。

「マッシュ……オレテガ……気づいたかや……」

 その言葉に小さくうなずく左右の二人。

「間違いなく、あそこにいた少年……あの時の少年や……」

「ということは、あの少年が過去に飛ぶということなのね……おほほほほ……」

「大方……イブの従者「ティアラ」の横やりしゅね……」

「しかし、まだ、あの少年の中にいらっしゃるアダム様の気配は小さいままや……」

「なら、今のうちなら、なんとかなるかもよ……おほほほほ……」

「でも、アイナが戻らない今……どうやるっしゅ! もしかして、俺たちだけでアダム様を? 無理っしゅ! 無理っしゅ! そんなの無理っしゅ!」

「そうだなや……ここは、やはり、アイナが戻ってくるのを待つのが上策というものや……」

「そうよね……あの子、頭だけはキレるから! まぁ見た目は私のほうが奇麗だけどね! おほほほほ」

 笑うオレテガを白い目で見るガイヤとマッシュ。

 どう見ても……

 どこから見ても……

 アイナのほうが一万倍かわいい!

「というか、お前! 男だろうがや!」

「そうっしゅ!」

 だが、それを聞くオレテガ腰を突き出し笑うのだ!

「私はもう女の子になったのよ!」

 って、それちょっと違うと思うんだが……

「まぁ……いいや……」

「とにかく、アイナっしゅね……」

「ちょっと待ちなさいよ! レディファーストという言葉を知らないの! おほほほほ!」

「俺たちアダム様の従者の魔人にレディもくそあるかいやwwww」

「そうっしゅwww性別なんて、意味ないっしゅよwwww」

「嫌! 私は絶対に女の子なのぉ! おほほほほ!」

 と、会場を後にする。

 だが、彼らは重要なことを忘れていたのだ……

 そう、ペンハーンが行うおでん組の猛特訓。

 それをすっぽかして遊び惚けていたのだから……

 そのあと、96時間ぶっ続けでアイドルの特訓を受けた三人組であった。


1! 2! 1! 2!

ハイ! そこでグルっとターンAターン!


「ガイヤ……この茶番、いつまで続けるつもりっしゅ!」

「アイナが戻るまでや! 1! 2! 1! 2!」

「これをやって、アイナが戻ってくると本気で思っているの? オホホホホ」

「アイナはアイドルになっているという噂や。ならば、必ずステージの上で出会えるはずなんや! それまで頑張るんや! 1! 2! 1! 2!」


 さて、第六駐屯地編に戻るか!

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