第76話 これが恩返しの最上級系
衝撃体験を終えた俺はすぐさまその場から移動した。その場に留まってたらまた桃がどんぶらこしてきそうだったからね。
現在、俺は氷の草原をスイ〜っと移動中です。
凄いよね。花も草も氷のような素材で作られてるんだぜ。触ったら砕けて散ったよ。
だから砕け散る前に何個かディメンションで回収しておいた。帰ったら頑張って量産してみようと思う。
そしてここの特殊な気候のせいか、雲が1つもなくびっくりするほどの快晴である。だから太陽が地面に反射して眩しい。サングラス欲しい。
とりあえず移動しながら桃太郎親分を食べてみようと思う。見た目がアレだが味は美味しいと書いてたからな。
まぁ、石とか呪いとかGとか食べた俺からしたら腕の生えた桃を食うなんて今更何言ってんだって話だ。
ガブっ
「うめぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!」
ゲテモノは美味しいと言うが、まさにその通りだな!すげえ、スイーツだなコレ。……桃はスイーツか。
日本の桃より格段に甘い。糖度18度を軽く超えているんじゃないか?
残して彼女達にお持ち帰りするか。……この腕だけは見えないようにしないとな。
そして久し振りにレベルが上がった。
イエティの時はレベル上がらなかったからな。
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名前 : ゼノン
種族 : 魔王 レベル : 36(+1)
【体力】: 42100 (+200) 【MP】 : 48890 (+200)
【攻撃力】: 25600 (+400)
【防御力】: 24170 (+100)
【素早さ】: 24200 (+100)
【運】 : 350
【ユニークスキル】
【悪食】【能力吸収】【鑑定】【成長促進】
【自己再生】【魔力回復】 【無詠唱】
【黒紋印 le.2】
【称号】
【中級魔王】【卵に負けし者】
【ユニークキラー】【ドライアドに認められし者】
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まぁ……、うん。
そんなに強くなかったもんな……
1つ上がっただけでも良しとするか。
そして覚えたスキルだが……
[鬼殺し]
鬼系モンスターを攻撃する際、攻撃力に補正がかかる。
めっちゃいいスキルじゃねーか!!
コレがあれば俺も桃太郎デビュー出来るじゃん!!
まぁ鬼なんてそうそういてたまるかって話だけどね?
スキルやステータスで一喜一憂してる間も移動してたが、こちらはこちらで景色が変わる気配がない。
「しかし、花も草木も真っ白だけどこんなに綺麗に見えるのは何でだろうな。」
まるで天国があったらこんな感じかな〜って感じだ。しかし何かしらの色が欲しいよな。ここにきてから白か桃色しか見てないし。色が恋しいよ。
すると目の前に灰色の物体が鎮座しているのが見えた。
「おっ、やっと色のついた物を見れ…た……けど…」
そこに鎮座していたのは、雪が積もった地蔵だった。
えっ……?今回もそういう系?
コレ地蔵の恩返し的なやつ?
雪を払って傘をかぶせたら恩返しにくる的なやつ?
だが生憎突然の出来事だから俺は傘を持っていないのだよ。とりあえず雪を払えばいいかな?
積もった雪を払い、地蔵の前で次はどんなアクションを起こせばいいのか考える。
ていうかコレは本当に地蔵なのか?
またさっきみたいにいきなり襲いかかってくるんじゃないのか?
危険がないか、まずは鑑定だな。
[地蔵]
地蔵。
これ以上ないシンプルな答えが返ってきた。
とりあえずこれは地蔵確定で、次は何故こんなところにあるかだが……
「絶対罠だよなぁ……」
だって怪しすぎるもん。
だからこれは何かの動作を認識して襲いかかってくるタイプだろう。
そしてその動作とは傘を被せずに立ち去ることだと俺は予想している。
でもあの物語は善意で被せただけであって、被せないからバチが当たるなんてことはなかったはずだ。
「うーん…、悩んでも仕方ない。無い物は無いんだからこのまま素通りするか。地蔵様ごめんなさいね?」
俺はそのまま素通りを選択する。すると……
『傘を被せぬか、このバチ当たりが!』
地蔵から声のような電子音が聞こえてきた。
すると突如として地響きが始まり、地蔵の下からとてつもなくでかい機械がせり上がってきた。
例えるなら縮小したハウルの動く城みたいだ。機械の腕が側部から生え、機関銃を搭載し、中央部分にはエネルギー砲が備わっている。ゴテゴテした近未来的な装飾を施し、自立したキャタピラで地面にそびえ立つその姿はSF映画さながらだ。
[高機動要塞JIZO mark Ⅱ ]
地蔵に扮した対生物抹殺戦闘兵器。遠近両用なんでもござれ、ハイスペックな攻撃がウリである。中心部にあるコアを壊すと止まる。食べられない。
「こんなもん俺が知ってる地蔵じゃねぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええ!!」
こんなもんが地蔵であってたまるか!!
なんで傘被せなかっただけで俺の命を持っていかれなきゃなんねーんだよ!!
てかなんでこんな技術の発達していない氷土のど真ん中にこんな近未来兵器がいるんだよ!?
『標的補足 Fire!』
「あああああああああああああああ!?」
あぶねぇぇぇぇええ!!固定砲台から銃弾がめっちゃ飛んでくるぅぅぅぅぅ!!
滑れ滑れ!滑ってひたすら避けまくれ!
頑張れ俺!躓けば一瞬で蜂の巣だぞ!?
銃口がありすぎて休憩する暇ねーじゃん!弾切れ起こしたらまた違う銃口から発射されて、その間に弾をリロードして………無限ループじゃねーか!!
クソっ、やられっぱなしも癪に触るな。
コアを破壊すれば止まるんだったか?ならコアが剥き出しになるまでぶっ壊してやるよ!
黒紋印がレベルアップしたおかげで同時並行で武器を作り出せるようになったから、スケートシューズを解除しなくてもいい。ていうか解除したら一瞬で死ぬしな。
俺は黒紋印を槍に変え、滑る勢いを利用して全力で投げた。
「壊れろぉぉぉぉ!!」
俺の放った一撃は地蔵の右半分の機関銃や装飾を粉々に砕いた。
「よっしゃ見たか!ザマぁ見やがれ!」
これで銃弾の嵐が大分マシになるだろう。
隙さえできればこっちのもんだ。その巨体じゃ避けることもできないだろう。
それに別に俺は地面に縛られる必要なんてない。
空から攻撃すれば攻撃の幅が広がるしな。そして空の方が動ける範囲が多いし、ちょこまか動けるから撹乱しやすい。
……俺なんですぐ気づかなかったんだろう。
俺は飛び上がり、空から斬撃などをお見舞いする。
じわじわだが効いてはいるだろう。
あともう少しでコアが出るかな?
『耐久値50% エネルギー充電開始 及び標的上昇
これよりスカイユニットに変形 接続開始』
うん、なんだ?エネルギー?スカイユニット?
すると機械が分離したり結合したり、まるでロボットアニメの変形シーンを見ているかのように姿を変えていく。
『作業完了 スカイユニットモードON アクセラレーション』
要塞のような姿が変わり、兵器を大量に搭載した戦闘機のような形になった。
「……ええええええええええ!!」
そんなのありかよ!?
もう地蔵要素どこにも無くなったぞ!!
しかも次はミサイルまで搭載してるじゃねーか!
『標的ロックオン ターゲット抹殺開始』
…………逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!
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