第28話 いざ、新エリアへ!

新しい仲間 ネアを迎えに秋景の森に向かおうとしたが、少し気になる単語が聞こえたな。

接近戦では2番目に強いって。



今思ったんだが、四魔天内で誰が一番強いんだ?気になるから聞いてみるか。




「接近戦ではって言ったが、結局戦ったら誰が一番 強いんだ?」



少し失礼かもしれないが気になったんだから素直に聞いておこう。




「接近戦だったら〜〜、一番はバルカンかな〜〜。あのゴリラ〜〜、とても強いんだよね〜〜。」


「そうです……あのゴリラですよ…チッ」




やっぱり聞いちゃダメだったかなと思う。

まさかここまで思念丸出しな返答が返ってくるとは…


バルカン何やったんだよ……っていうかどんな見た目してるんだよ…… 早く会いてえ。




しかしまたここで聞き捨てならない言葉が出た。




「でも〜〜、全部引っくるめて強いとなると〜〜〜〜 やっぱりフローリアさんかな〜〜。」


「そうですね。あの人は別格なので。」




誰だそれ?

また新しい人が出てきたな。




「そのフローリアってのは……」


「はい。フローリアさんは南側に位置する極冬の冷地を治めていらっしゃるお方です。四魔天一の実力者であり、私達のお姉さん的存在です。」




マジか。全てを凍らすって聞いたあの氷の大地を支配しているのか。そら強いわな。




「接近戦ではネアとバルカンはいい勝負をしますが、フローリアさんには誰も近づけません。魔王国最強です。前魔王様より強かったそうです。」




それ強すぎじゃない!?

魔王より強いってそんなんアリかよ!?




内心叫び倒したいぐらい驚いているが魔王としての威厳を保つため頑張って平静を装っていた。





さすが四魔天。みんなすごく強いんだな。

まだフィリアしか見つかっていないが、また全員が揃う日は近いだろう。


そのためには俺が全エリアを調査して一人ずつ見つけ出していかないとな。


それともっと美味しい食材を探してもっと強くならないといけない。魔王たるもの配下より弱いわけにはいかないからな。


今の俺の実力がどれぐらいかはわからないが、最終的にはフローリアを超えないといけないってことだ。




そのためにはまず秋景の森で新たな食材を探し出し、なおかつネアを見つけること、これが最優先事項だ。


さて、準備も揃って目的も決まったことだしそろそろ秋景の森に向かって動き出しますか!



こうして新たな出会いを求めて歩き出した。




「私は〜〜、歩くのがしんどいから〜〜、ここで寝てるよ〜〜。ネアを見つけてきてね〜〜〜〜。」




出だしから躓きそうになった。

まさかのフィリア不参加。




「えっ? フィリア行かないのか?」



振り返って話しかけてみたがもう遅い。

フィリアはその場に植物を生やし、もたれかかりながら熟睡していた。



まぁ、フィリアはもともとこういう性格だから仕方ない…… パンドラと2人で探しに行くか…




「というわけで、ネア探しに行くか。」


「はい! 探しに参りましょう!」




出だしから問題があったが、俺達は再び秋景の森に向かって出発した。







ここで魔王城周辺について少しお話ししよう。




魔王城の周りは実は常春の草原に囲まれているんだ。

魔王城は基本穏やかな草原の中心にある。



常春の草原と呼ばれる場所は、東側に神隠しの森など主要な草原があるだけで本当は魔王城の周辺+東側という感じだ。敷地内で一番締める面積が広い。




では周りが草原なのなら、秋景の森、灼夏の火山、 極冬の冷地はどこにあるのか?




答えは簡単。残りの3つのエリアはそれぞれ北、南、西に向かって何十キロ〜何百キロ歩いた場所にあるらしい。



それもそうだ。扉をでてすぐ氷山やら火山やらがあって、それに囲まれていたら俺達は生活することができなくなる。



暑いと寒いに囲まれるなんてたまったもんじゃない。




ではどうやってそのエリアに移動しようとしているのか?



答えは簡単、魔法の扉で移動している。



まず魔王城には北と南と西側に扉が設置されている。

その扉をくぐると目的のエリアに着くらしい。


言い換えると、魔王城とはるか先のエリアを魔法の扉でつなげてショートカットするということだ。

簡単に言うと、どこでもドアだな。



魔法の扉とは何なのかをパンドラに聞いてみると、パンドラが魔王城で支え始める以前にいた魔道具職人が作った代物らしい。今のパンドラの技術では作ることができないそうだ。



魔法の扉があるおかげで何十キロと歩く必要もなく、扉を開ければ目的のエリアに行ける。

さすが異世界だぜ。ドラ○もんもビックリだろ。



というわけで俺達は魔王城内の西側に設置されている秋景の森とつながっている扉の前に到着した。



見た目は装飾の施された、貴族の家にありそうな扉といった印象だ。




ドキドキしながら扉を開けると、そこには日本の紅葉を思い出させるような綺麗な景色が広がっていた。



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