第22話 我が家探索!
………………………はっ!?
あまりの衝撃に意識がフリーズしてた!
いやいや、そんなことはない。
ベッドをめくったら美少女が隣で寝てたとか、そんなギャルゲーイベントが俺ごときに起こるはずがない。
多分もう一度めくったら何もいないだろう。
そうに違いない!!きっと!多分…
布団をめくってみるとやっぱりパンドラとフィリアは気持ちよさそうに寝ていた。
「夢じゃないのかよ!?」
「「んっ…………」」
しまった!起こしてしまった!
………………じゃなくて!?
「んーっ、おはようございます、ゼノン様。」
「おはよう〜〜〜〜、ゼノン様〜〜〜。」
「ああ、おはよう。……じゃなくて!なんで2人揃って俺のベッドで寝ているんだよ!?」
「「えっ?」」
その時2人ともお互いの存在に気づいた。
「なんでフィリアもここにいるのですか!?」
「それは〜〜、こっちのセリフ〜〜。なんでここにいるの〜〜?」
「私はっ///// その……///// そうです!ゼノン様の御心が疲弊されていないか確認に来たのです!ちゃんと療養目的です!」
じゃあ何故ベッドに入っているんだ……
「私は〜〜、ゼノン様が〜〜、ちゃんと寝ているか〜〜、確認のため〜〜〜〜。」
じゃあ何故ベッドに入っているんだ……
そして俺は子供か……
まぁ、2人とも俺のことを心配してくれていたことに免じてこの件は水に流そう……
「まぁ……2人ともありがとう。俺のことを心配してくれて。でも今度からは事前に言ってくれていると嬉しいな。心臓に悪いから……」
いや、マジで!!
起きたら隣に美女が寝てるって、俺がもうちょい気が弱かったらビックリしすぎて心臓止まってたぜ!?
「申し訳ございません、ゼノン様…… つい誘惑に負けてしまい………」
「あぁ、大丈夫だ。」
誘惑ってなんだ?俺誘惑してたのか?
「ごめんなさい〜〜、ゼノン様〜〜。じゃあ、今日もベッドに潜るね〜〜〜〜。」
「あぁ、大丈………………はっ? 今なんて?」
「今日もベッドに潜るね〜〜〜って言ったの〜〜。」
えっ、マジで?
男は狼なんだよ!?危機感薄すぎない!?
「ダメです!!ゼノン様にご迷惑がかかるでしょう!?」
そうだパンドラ!もっと言ってやれ!
ベッドに入ってくるってわかってたら、俺多分緊張して寝れないと思うから!!
「今まで〜〜、ずっと1人だったから〜〜、誰かと一緒にいたいの〜〜。ゼノン様は〜〜、一緒にいると〜〜、とても落ち着くんだ〜〜。ダメ〜〜〜?」
それはずるいよ!!
それ言われたらもう断れないじゃないか!?
仕方ない………今日だけ寝るの我慢するか……
「……しょうがない…ベッドに入ってきていいぞ。」
「やった〜〜〜〜、ありがと〜〜ゼノン様〜〜♪♪」
……まぁ、嫌われてるより好かれてる方がいいか。
「異議あり!! それでは私が不公平なので私もゼノン様のベッドに潜り込みます!!いいですね!?」
パンドラ、お前もか!?
まぁ、1人も2人もあんまり変わらない気もするが…
こんないっぱいいっぱいな表情で待ち続けているパンドラを断るのも可哀想だしな…
「……わかった、いいぞ。」
「ありがとうございます/////!」
ハーレムの主人公ってこんな気持ちなんだな。
めちゃくちゃ満ち足りた気持ちだが、今日は寝不足確定だ……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺達は寝室から出た後、昨日少し残しておいた料理で朝ご飯をすませ、俺は魔王城内を案内してもらうことにした。
「先に言っておきますと、魔王城内はほとんどが空き部屋となっています。ですので、使われている部屋は数えるほどしかありません。」
「えっ?空き部屋? こんなに大きいのに?」
意外だな……外から見たら11回建てマンションぐらい大きいのに……
っていうか、俺まだここにきてからパンドラとフィリアしか人に会ってないんだよな。それも関係しているのかな?
「まず、この城には私達以外住んでるものがいません。」
「嘘だろ!?」
えっ、そんなことあんの!?
住人が3人しかいない魔王城ってあんの!?
とりあえず理由を聞いてみるか。
「なんで他の配下はいないんだ?」
「昔はいたのですが……前魔王様がお亡くなりになってから時間が経ってしまったので、辞めてしまいましたね。前魔王様はケチでしたので給料はほとんど払ってもらえませんでした。その鬱憤が爆発して亡くなったと同時に皆喜んで辞めて行きました。」
まさかの給料制!?
魔王城給料制導入してたの!?
しかも魔王死んでからすぐ全員辞めるって…
魔王どんだけ嫌われてたんだよ……
まぁ俺はどこかに侵攻するわけでも戦争するわけでもないから別にそこまで配下はいらないかな。
平和が一番。平和サイコー。
「さて、そろそろ魔王城内を案内して行きますね。まずは一階にはみんな大好き食堂です!」
まぁ……ここはさっきも利用したしな。
「食堂を出て右に歩きますと、私の魔道具工房があります。ここでいつも魔道具を作っています。」
そこは簡素な作りではあるが、床や壁一面に大量の魔道具が錯乱されている部屋だった。数えきれない魔道具の数々を見るだけでパンドラの努力が手に取るようにわかる。
なるほどな。魔道具作りか…俺もできるかな?
また今度パンドラに教えてもらうか。
だがそこで俺は1つの疑問が浮かんだ。
ん?……一直線の道なのになんで昨日前に走って行ったパンドラが後ろから来たんだ?
「パンドラ、なんで昨日前に走って行ったのに俺の後ろから現れたんだ?」
「それは……………秘密です! もう少ししたら完成しますので、その時お教えしますね。」
秘密らしいがもう少しで完成って言っているあたり新しく製作中の魔道具か何かかな?
なんか少しポンコツなところがあるな。
まぁ、あえて黙っておこう……
さらに食堂の反対側へと進み……
「そしてこちらが大浴場となっています。」
そこは男女でわかれたのれんがかけられており、中を覗いてみるとなかなか広い大浴場という感じだった。
おお、風呂!!もしかしたら無いんじゃないかと思ったがあったのか!!
これは日本人としては嬉しいな。
夜にでも入りに来るか。
「お次は2階でございます。2階に上がってすぐの部屋は玉座の間となっております。」
もう懐かしく感じるな……
昨日ここから俺の魔王ライフが始まったわけだが…
「そして玉座の間を出て右に進みますと、ゼノン様の部屋と私達の部屋に到着します。」
まぁ…ここもさっき通ったしな……
「以上です。」
「嘘だろ!!??」
まさかの全部屋制覇らしい。
嘘だろ!!??
2階めっちゃ広いし、まだ3階と4階残ってるんだけど!?えっ……本当に!?
「驚かれるのも無理はありません……この魔王城の3階と4階は魔王城の外観を綺麗に見せるためだけに作られたらしいです。私も初めて聞いた時はびっくりしました。」
外観より内部を意識しろよ!?
もっといろいろ作るべき物あっただろ!!
絶対作ったやつバカだわ!1+1=3とか言うタイプだわこれ!
「あっ!! まだ紹介できていない部屋が1つございました!」
よかった…… まだ使われている部屋はあったのか…
「そちらの部屋は地下にあります。」
「なんでだよ!!??」
なんで地下に行っちゃうんだよ!?
もっと上の階を有意義に使えや!!
文句をぶちまけたかったが、とりあえずパンドラの後ろをついて行き、薄暗い地下へと進む階段を通り、魔王城の地下にたどり着いた。
そこはやけに広く、大きさを例えるとすると東京ドームぐらいの広さだろう。足場は岩ではなく砂浜のようになっており、そして何よりも目を引くのは地下室の半分以上が穏やかな海のようで魚が泳いでいるのが見えることだろうか。
……めっちゃ言いたいことがいっぱいある…
でもひとまずパンドラから話を聞くとしよう。
「………パンドラ、ここは?」
すると予想通りの返答が返ってきた。
「前魔王様曰く、釣り堀というものらしいです。」
……なんで魔王城の地下に釣り堀があるんだよ!?
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