今日も美少女とお風呂に……。

まさか、二日連続女の人とお風呂に入ることになろうとは。


昨日と同じく、俺は先に湯船に入っている。昨日の反省を活かして、お湯の温度を少し低めにしたが、どこまで効果があるかわからない。


……美々子さんも、碧先輩も、服の上からでもわかるくらいのナイスバディだ。果たして俺の理性は、頑張ってくれるのだろうか。


「お~し!入るぞ!」


最初に入って来たのは、美々子さん。


……やたらと水着の露出面積が多いのは、きっと気のせいじゃない。


あまり見ないようにしよう。そう決意した。


「なぁ桜。あたしの水着、どうだ?」


……決意、したんだけども。


こんな質問をされたら、見ないわけにはいかない。


「す、すごく。可愛いと思います」

「サンキュー!」

「ちょっと。撫でないでくださいよ……」

「可愛いからなぁ桜は。よしよし」

「やめてください……」


なぜだろう。美々子さんに撫でられると、反抗する力を失ってしまう。


まりあさんの包み込むような撫で方と違って、こう、シャカシャカと、雑に撫でられる感じ。


まるで、良くないことをされてるんじゃないかって気分になってしまう。


「さて、と。入ろうかな」


美々子さんが、俺の頭に手を置いたまま、湯船に入って来た。


そして、入った後も、手を離してくれない。


「あの、美々子さん。いつまで俺の頭に手を……」

「あ、悪い悪い。あんまりに収まりが良かったからさ!つい」

「勘弁してくださいよ……」


美々子さんはからかってるだけかもしれないが、俺にとっては大問題だ。


「しっかし。さっき脱いでるとこ見たけどさ?神沢ちゃんだっけ。……あの子、相当だな」

「や、やめてくださいよ」

「桜、いっつもあの子と部活してんだろ?変な気起こすなよ?」

「起こしません!」


そう答えたところで、ドアが開き、碧先輩が……。


……碧先輩?


まず目に入ったのは、二つの大きな物体。


水着がはちきれそうなくらいに引っ張られていて、苦しそう。


そして、初めて見る、先輩がメガネを外した素顔。


「……あんまり見ないで」

「す、すいません……」


思わず十秒くらい、思考が煩悩に支配されていた。


一旦お湯にもぐり、気持ちをリセットする。


「すごいな……。あたしや徳重ちゃんより大きいぞこれは」

「……恥ずかしい」

「良かったな!桜!」

「何がですか!」

「えっと……。神沢ちゃんは、桜の上でいいか?」

「何の話をしてるんです!?」

「え?だって、一緒に入るだろ?」

「三人は無理ですよ!一人は体を洗って、交代で入るしかないです!」

「それはつまんないじゃん……。ね?神沢ちゃん」

「もったいない」


ダメだ。完全に、二対一の構図になっている。


だけど、この湯船は、俺と美々子さんの二人だけでも、かなりいっぱいいっぱいだ。


どこに、碧先輩の入る余地があるというのだろう……。


そう思っていたら、碧先輩がーー。


……俺の上に、乗ろうとしてきた。


「ちょっとちょっと碧先輩!?本当に俺の上に乗るんですか!?」

「だって、そこしかない」

「それはマズいですって!せめて美々子さんの上にしてください!」

「あたしはこれからヴァイオリン弾くんだよ?ゆっくり入りたいな~」

「じゃあ一人で入って下さいよ!ちょっと先輩待って!やめて!」

「問答無用」


こうして、俺の上には碧先輩。すぐ隣には、美々子さんがいる。


これは例え水風呂だろうと、のぼせてしまうだろう。


頭がおかしくなりそうだ。どこにも逃げ場がない。少しでも体を動かせば、どちらかの柔肌に触れてしまう。いや、動かなくたって一緒だ。


「桜、顔真っ赤だな。こんなにぬるいのに」

「野並。私はいつも四十四度。上げてほしい」

「殺す気ですか!?」


この状況で四十四度。多分鼻血が止まらなくなると思う。


「よし。せっかく三人いるし、しりとりしようぜ」

「どんなタイミングですか……。別に三人じゃなくてもできるでしょう」

「いいだろ?別に。じゃあ、あたしから。しりとりの『り』で……。りんご!はい桜!」

「ご……。ごりら」

「ライス」

「スモーク!」

「クレープ」

「プロ野球」

「牛!」

「品川」

「ワニ」

「肉球」

「あの、やめませんかこれ」

「あはは!でも、気持ちはまぎれただろ?」

「……あ、確かに」


一応、美々子さんなりに、気を使ってくれたのかな。


……いや。それなら最初から、一緒に入るなんて言い出さないで欲しかったけど。


「さて。じゃあ次のゲームは……」

「まだやるんですか?」

「誰が最初に突っついたゲームだな」

「……なんですか?それ」

「桜、一旦湯船から出てくれ」

「はい……」

「……なに?」

「いや、碧先輩が退いてくれないと、出れないんですけど」

「別に、野並が自分で退かせばいい」

「……無理ですって」


そんなことしたら、どう頑張っても、碧先輩の肌にがっつり触れてしまう。


少し落ち着いたとはいえ、俺の理性は限界ギリギリだ。


「おいおい桜。それでも男か?」

「煽らないでくださいよ」

「全く。野並は根性が無い」

「もうそれでいいです……」


不満そうに頬を膨らませた碧先輩は、スルーさせていただくとして。


「で、そのゲームはどんなゲームなんですか?}

「よくぞ訊いてくれたな。まずは、こうさせてもらう」

「え?わっ!」


いきなり、タオルで目隠しされてしまった!


……一体、どんなゲームが始まるんだろう。

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