夢l-2
半壊した建物に入る。ここは多分、元ギルドハウスだ。壁に緑地に灰色の真っ直ぐな角が描かれた旗がかかってる。
「あのマーク、タラントのギルドハウスにあったのと同じじゃん」
なら、間違いない。俺達は元鋼の角のギルドハウス内を探ることにした。
「俺はカウンターの向こうを探すよ。ここのマスターの居たとこなら地図があるかもしれないしな」
「ここには遺体がないんですね」
「多分、皆、外に出て勇敢に闘ったのね」
「でもティルスに向かった人の護衛に付いたのかもしれないじゃん」
ならいいんだが。ニジエはレンズを覗きながら怪しいものが無いかを探る。柊と新堂は奥だ。広さは無いが、あちこち瓦礫だらけで探すのも一苦労だ。確かマスターはよくカウンターの下から地図を出してたな。となると同じ場所かな。やはりあった。これがカ―チンガの地図だ。
「新堂あったぞ。この地方の地図だ。結構詳細だぞ」
「詳細な地図なんて普通、機密扱いなんだけどね。持ちだされてなくて助かったわ」
地図を見るとカ―チンガから南西にティルスの街、南東には海があるようだ。
「まずティルスに向かいましょう」
「それなんだけど、出来れば海の方面に向かいたいんだ」
「なにそれ? なんか意味あるの?」
「調べたら今まで倒してきたモンスターは7つの封印と関係があった。今度も関係あるならマーメイドが俺達の今回の敵だ」
「悩み所ね。ティルスで情報も欲しいんだけど」
「でも、そっちに情報は無さそうじゃん」
「なんでですか?」
「だってモンスターがいる方には普通逃げないじゃん。だからティルスは今回の襲撃に関する情報はないんじゃん」
柊の言うことももっともだ。やはり海方面を調べるべきだろう。
「確かにそうね。生き残りの情報を聞いて無駄だったら丸1日ロスになるか。今のところ補給はとりあえず必要ないけど、南にあるオアシスまではとりあえず向かいましょう。どちらの最短ルートでもないけど、そこまでいって砂漠の様子を確認してからでも遅くはないから」
出来れば海に最短ルートで向かいたかったが、確かに砂漠の様子を見てからでも遅くは無いか。何より、ニジエの生み出せる水は有限だ。どこかしらで水を確保する必要がある。さっき確認したが、井戸からは腐臭がしていた。中は見ない方がいいだろう。
「方針が決まったら行こう。水のエンチャントが切れる前にオアシスまでたどり着きたいからな」
こうしてカ―チンガをまっすぐ横切り、【ティラ砂漠】に向かう。それにしてもなんだか切り立った岩ばかりだな。
「普通、砂漠ってもっと砂だけなんじゃん」
「恐らく、ここは岩砂漠なのよ。多分、カ―チンガに石造りの建物が多かったのはここから切り出したからね」
たまに砂が風に吹かれて目の前を遮る。足がめり込む。砂漠ってこんなに歩きづらいのか。鎧が熱をもつのを感じる。
「本来、砂漠って昼歩くもんじゃないのよ。でもこの世界の夜は私達、行動出来ないでしょ」
おっしゃる通り、多少強行軍になってもこの道なき道を行かなければならないのだ。振り返るとニジエだけ涼しそうな顔をしている。やっぱり魔術師は羨ましい。すると突然ニジエが叫ぶ。
「皆さん、止まって下さい。なんか変な生き物がいます」
モンスターか? 変な生き物とは?
「どんな奴よ」
「エビのようでハサミがあって、尻尾が上向いてる変な生き物が地中にいます。こんなの見たことないです」
なるほど、サソリか。確かに一般的じゃないな。
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