夢k-4
「俺、多分、来栖先輩ほど上手くあの剣をを使えるか分からないですよ?」
「心配ないさ。キミは俺の隣で闘えたじゃないか。近いうちに俺も超える剣士になれるよ。絶対だ。間違いない。俺が嘘をついたことはなかっただろう」
確かに来栖先輩が嘘をついたことは無い。だが、この長大な剣を俺が扱えるのか?
「もっといい武器に買い換えるんならしまって置いても構わないよ。とにかくキミに俺の剣を託したいんだ」
柊からクレイモアを手渡される。傷だらけだが、重い。重量がではない。込められた思いが。買い替えるなんて気にはならない。これで行こう。
「ありがとうございます。俺、この剣扱わせてもらいます」
「頼んだよ。ついでに香苗もね」
え? なんだって? 新堂も?
「ちょっと来栖、それじゃあ誰がアンタの世話すんのよ」
「それなら大丈夫。左手は何ともないから。あんまり兄貴を舐めるなよ。それに香苗の力はここで俺の世話をするより、達哉君達に協力した方がいい。この先、闘いはもっと厳しくなるからね」
「何の話よ」
「それについては俺と達哉君で話そう。モニター越しだが、この目で確認したからね」
ニジエにはキツイ話になるな。でも言わないと。
「今回と前2回の襲撃、そして全ての黒幕は優さんだ。そして狙われたのはルンレストじゃない、来栖先輩だ」
皆が一様に黙る。来栖先輩が続ける。
「ニジエさんには残念だが、本当の話だ。俺は確かに言われた。今回は耐えられるかって」
「兄さんがそんなこと……」
ニジエは信じたくは無いだろう。だが事実だ。何故来栖先輩が狙われたかは分からない。しかし、どの襲撃も来栖先輩が中心にいた。
「ニジエ、心苦しいだろうが信じてくれ。俺も確認したんだ」
ニジエは顔面蒼白になりながら宙を見つめる。
「兄さんはお城に行くほどの魔術師ですよ。それがなんで自分を危険に晒すような真似するんです?」
「今回の襲撃、終わったのは来栖先輩の腕が落とされたからだ。目的は来栖先輩だったんだよ。今回は目的を達成したから引いただけで、根本的には解決してないんだ」
「もしくは来栖が死んだと勘違いされたかね」
「なんで兄さんが来栖さんを狙わなきゃいけないんですか。私分かりません」
「多分、邪魔になると思ったんじゃん。来栖先輩はこっちでも現実でもつえーからな」
その可能性は充分にある。アーマゲドンオンラインの力はゲームに夢中にさせることだけでは無く洗脳に近い力もあった。
「それはありうるな。本条先輩も側近というかボディーガードみたいにされてたし」
「え? マジ? じゃあ、今日の用事って」
「ああ、ライブイベントの護衛だ。実際に刃物みたいな物で優さんを襲った襲撃者を撃退してた」
「兄さんは無事だったんですか?」
「最終的には優さんだけが無事だったって感じだ。それ以外の人は全員倒れたから」
「私は例の音をこっちで確認したわ。柊とニジエと3人で。襲撃が始まったのはその後すぐよ。コリンに襲撃が始まるから、来栖と陽菜を起こしてくれって頼んだもの」
やはり封印解除と例の音、そして襲撃は全て繋がったか。またもや皆が静かになる。
「とりあえずマスターに報告に行こう。この1件は城の魔術師が怪しいって」
「ちょっと待って、陽菜、それは言わないで。とりあえず、来栖は腕が動かせなくなって引退、そして、私がアンタのパーティーに入るってことだけでいいわ」
「それは兄さんを警戒してですか?」
「残念ながらそうよ。ギルドの報告はお城にいくもの。なら来栖は再起不能と思わせた方がいいわ。最悪、城とニジエのお兄さんが繋がって何かを企んでるのかもしれない」
それは言える。この状態で優さんを怪しめば俺達の行動を城側から監視されかねないのだ。なら、来栖先輩はもう闘えないとした方が良い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます