現実j-5
「アンタ授業中、爆睡してんじゃないわよ。彼氏の成績が悪いなんて私、許さないからね」
まだ恋人設定引きずるのかよ。別に勉強の良し悪しなんて関係無い気がするが。
「すまん、夜に備えて休んでたんだよ」
「なら、体力も問題無いわね。特訓いくわよ。終わったら来栖達が来る前にノート写しなさい。これはサービスよ」
コイツがサービスとは珍しいな。だがお言葉には甘えておこう。
放課後の演劇部練習場は相変わらず無人だった。いつもの体操から始まり素振りをすると100本で止めがはいる。
「そう言えば、アンタ直刀に買い換えたのよね。なら、そろそろ、腰の使い方で引き斬りと押し斬りを覚えなさい。今までみたいに叩きつける戦法は効率悪いからね。見本見せるから覚えなさい」
そういうと、新堂はすり足で素早く前に動き竹刀を振るい、今度は身体を引くように竹刀をふるった。なるほど腕の動きだけじゃなく重心を移動させるのを利用して引いたり押したりする訳か。
「この動きはそのまま突きにも利用できるから、マスターしなさい。もし予想通りなら今夜、また街が襲われるから」
それを忘れてた。封印解除は街が襲われる合図でもあるのだ。なら今夜は大乱戦になる。
「新堂、お前達どうするんだよ。盾役いないし、誰か募集するのか?」
「そこは今日を乗り切ったら考えるわ。今夜はアンタ達の指揮は私がするから、臨時のパーティーね」
がめついとこを除けば新堂は頼りになるな。戦術士の援護は昨日、身に染みて分かっている。だが今は地力を上げよう。使える技術は覚えるに越したことは無い。重心の移動を意識する。すり足が使えない状況を考え、膝で腰の重心をコンパクトに動かす。
「アンタ、そんな事までできるの? 本当に器用ね」
「なんとなく新堂の動きに、来栖先輩の膝を柔らかくってのをイメージしてみたんだ。後、気になるんだけど。来栖先輩の剣って直刀なのに円を描くようになるだろ? アレどうやるんだ?」
「弧の動きね。教えたいけど私もまだその域じゃないのよ。とりあえず今は言われたことを練習しなさい」
重心移動を意識して竹刀をふるう。もっとイメージの先へ、これは竹刀じゃないバスタードソードだ。眼前にオーガがいることをイメージする。より滑らかで剣を当然そうなるかのようにふるう。新堂からは罵声が飛ばない。及第点ってとこか。しばらくすると人影が見えた誰だ? また懲りずに悠紀夫が盗撮にきたのか?
「おっまだ2人共いてラッキーじゃん」
来たのは柊だった。おかしいな空手部は6時ギリギリまで練習するはずだが。
「どうしたんだ柊、部活抜け出せたのか?」
「いや、それが本条先輩今日は用があるから早めに解散って。部長いない時、怪我したら、たとえ捻挫でも結構問題になるらしいじゃん」
「本条先輩がいない時には休みになるのか」
「勝さんって部活休むことなんて無いのに」
「それだよ。なんか今日はスゲー機嫌良くて、かえって2年の先輩がビビってたくらいじゃん」
そんなレアなことあるんだ。俺達には好都合ではあるが。
「じゃあ、今日はこの辺にしましょう。来栖も多分早めに切り上げてくるはずよ」
こうして3人でいつものファミレス向かったが、なんと既に虹江が来ていた。
「多分、昨日から察するにみなさんここに集まると思ってましたから」
本当に勘が鋭いな。テーブルに着くと新堂はノートを投げつけてきた。
「私は虹江に説明するから、アンタはノート写しときなさい」
確かに効率はその方が良さそうだ。とりあえずドリンクバーを4人分頼むと俺はノートを写し始め、柊と新堂は虹江に説明していた。
「兄さんのゲームにそんな効果あるんですかね? 私はガラケーなんでそのゲームできませんが」
確かにスマホは盲人には使いづらいだろう。だが、もう一つは間違っても虹江がアーマゲドンオンラインをプレイしないようにだろう。今なら確信が持てる。ノートを写し終える頃には来栖先輩がやって来た。これで夢の世界の知人は全てそろった。情報交換の時間だ。
「まず私から。結論から言うとアーマゲドンオンラインをしてないクラスメイトはいなかったわ。陽菜を除いて」
つまりクラスでしてないのは俺と新堂だけか。
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