夢g-10
「全員装備の買い替えか。これはクルス達に続いてオーガに渡りあえるパーティーの誕生かな。全く嬉しいやね。そういや、タツヤ一行充てに書簡が来たぞなんと城からだ」
なんだろう、もしかしてフィリップ店長の言ったように騎士として召し抱えるとかかな。しかし、これどう開くんだろ切ればいいのかな? ダガーナイフを抜くとマスターが慌てて止める。
「お前、書簡の開き方も知らないのか? 蝋印は絶対傷つけるなよ。必ずペーパーナイフを使うんだ。お前充ての書簡だから、中身の確認は俺からは出来ないが内容が難しいと思ったら俺に聞けそしたら要約して伝えられるから」
なんだか書簡って面倒なんだな。普段SNSで伝えて手紙も碌に出さない俺には馴染めなそうな文化だ。マスターが開いてくれたので中身を確かめる。タツヤ殿へ貴殿の活躍、誠に見事、もののふの誉れ……なんだこれ?
「マスター、なんかこれ読むのスゲー面倒くさい、要約してくんない?」
「タツヤ、お前、城から書簡が来てるって事は子爵様からの手紙ってことで、名誉なことなんだぞ。本当に少しは誇りに思えよ。何々……」
現国の成績が赤点すれすれの男にあんな文章理解するのは無理だ。多分、文章を飾る文化があるんだろう位にしか解らない。手紙なんて誰に何をくらいざっくばらんでいいのだ。マスターが読み終わり説明してくれる。
「要約すると伝説の魔獣撃破おめでとう。街の防衛も上手く行ったし、明後日お城でダンスパーティーがあるから来るようにだそうだ」
「もう、そんな情報お城に伝わってるのかよ。てか、あんなに被害出たのに街の防衛上手くいったって? ダンスパーティー? ふざけてんのか」
「その質問には答えてやる。まず、ケルベロス退治の連絡は俺がした。これは義務だ仕方がない。次に被害者は冒険者達だ、しかも有志のな。残念ながらこの街と襲撃の規模から考えれば、今回は成功と言える。そして、その冒険者の活躍を称えるって意味でお前達のパーティーを城に招くってことだ。怒りも言いたい事も解るが俺達ギルドや他の冒険者達の顔を立てると思って行ってくれないか?」
つまり駆け引きの道具扱いか。だがそう言われたら断れないじゃないか。
「解ったよ。でもお城になんて行った事ないからさっぱり分かんないぞ。礼服なんかも必要なのかな?」
「そりゃ、鎧姿で入る訳にはいかないだろ。タキシードにコートくらいは必要だな。それにダンスパートナーなんかも大事だぞ」
ダンスパートナーってもはや理解不能だ。要は一緒に踊ってくれる相手が必要ってことか。俺にはそんな相手1人しかいない。
「ニジエ、俺のダンスパートナーになってくれないか?」
ニジエは顔を真っ赤にしかすれるような声で。
「はい、喜んで……」
これでダンスパートナーはクリアだ。後は必要な服装を買いに行かねば。柊が呟く。
「おい、俺、ダンスパートナーいねぇーじゃん……」
あ、コイツの事忘れてたどうしたもんかな。マスターの横を見るといつの間にかちょこんとレベッカが立っていた。その目は期待に満ち溢れている。コイツ何か狙ってるな。
「おい、柊、なんか丁度良さそうなのがいるぞ。声かけてみたらどうだ?」
レベッカは柊をじっと見つめている。これは決まりだな。
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