夢g-5
「街の防衛は有志から募ってるからね。みんな疲れただろうから、酒でも買って宿でのんびり疲れを癒すんだろう」
声をかけてきたのは来栖先輩だった。
「ケルベロス退治に防衛戦参加お疲れ様。ケルベロスのことは香苗が教えてくれたけど、今回の防衛戦は驚いたよ。腕を上げたね」
無性に嬉しくなる一言だった。新堂は怒鳴ってばかりだが来栖先輩は褒めてくれた。なんだか認められたみたいだ。
「ふん、私の指揮があってこそよ。今夜、夕飯奢りなさいよ」
コイツはコイツでぶれないな。
「香苗待ちなよ。そこまで稼いだならついに武器の買い替えかな? 確か4000はあるんだっけ。ならサムライロングソードより強い武器を買うのもありだね」
「でもレギンスも買わなきゃならないんで、武器には3000くらいですかね」
「難しいラインだね。3000で最高の武器は【フランベルジュ】だけどアレは扱い難しそうだな。俺とお揃いでクレイモアにするかい?」
少し憧れるが今の俺には手に余りそうだ。もう少し短めで扱いやすそうな剣を探そう。
「すみません。ちょっとクレイモアは使いきれそうにありません。もう少し扱いやすそうな剣探します。来栖先輩は武器買い替えないんですか?」
「悩んでるんだよね。大剣はこの次【ツヴァイハンター】なんだけど、これがしっくりきすぎてるから、これを打ち直して貰うのもアリだし、エンチャントかけてもらった方が強くなるかな」
そう言えばエンチャントって手段もあったか。サムライロングソードを買ってエンチャントかけてもらえば、かなり強くなるんじゃないか。その考えを打ち消すように新堂が口を出す。
「2人共考え甘すぎ。この世界おかしいと思わないの?」
何がおかしいんだろう。夢の世界なんだかおかしいことだらけではあるが。
「陽菜、アンタいつファルシオンに買い換えたのよ。その間一度でも研ぎに出したことある?」
言われてみれば確かに変だ。剣なんだから研がないと切味が鈍るはずだ。
「私も変だと思ったのよ。サーベルなんて研がなきゃすぐナマクラになるはずだもん」
「香苗、それは血糊が消えちゃうからじゃないか?」
「それも思った。でも骨を断って刃が全くこぼれがないってのは明らかに変よ」
それは確かにおかしい。今でこそ安定したものの最初なんてかなり無茶なファルシオンの使い方をしていたのに刃毀れ1つないなんてかえって変だ。
「この世界では高い武器にはそれだけ攻撃力に補正がかかってるのよ。だから私は無理しても少しでもいい武器買ってるの」
このシブチンの新堂が貯金より武器に金をかけるだって? それは何より説得力がある。
「ちなみに新堂のは普通のサーベルじゃないのか?」
「私のは【ミスリルサーベル】よ。刀身が全ミスリル銀製、2800オーロよ」
あのサーベル、クレイモアより高いのか。あの片手で撫でるような一撃でウェアウルフの首をはねたのは単に技量というわけではなかったのか。
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