現実f-2
着替えると昼休みのチャイムがなる俺と悠紀夫は急いで学食へ向かう。最近はいつも満席だ。みんなそんなに腹が減ってるのだろうか?もっとも俺みたいに弁当持参で駄弁りに来てる奴もいるから一概には言えないが。
学食ではいつも通り柊が席を4つ確保していてくれた。
「サンキュー、しかしまたA定食かお前飽きないな」
「だってここのコロッケ美味いじゃん。それに昨日からはプロテインも飲むようになったしな」
そう言えば今朝飲んでなかったな。
「お前は飲んでんの?」
「当たり前じゃん。本条先輩飲めってうるさいし」
こいつ気に入られてるのかな? それはそれで災難そうだ。しばらくするとカツ丼と牛丼をもったノリとうどんとB定食をもった悠紀夫が席につく。
「あれ? ノリはともかく悠紀夫も多くないか?」
うどんを啜りながら悠紀夫は答える。
「今日は人多すぎて1人2つまでだから一度に頼んできたんだよ。学食売り切れるんじゃないか?」
学食で売り切れか、考えもしなかった。他のテーブルも所狭しと料理が並んでいる。柊がつぶやく。
「本条先輩とか食い過ぎだしな。あの人4食くらい食べるらしいし」
そういえばファミレスでやたら食べてたなあの人。来栖先輩もあれで腹3分目だと言ってたし、やはり元が違うんだろう。 ノリが言う。
「でも俺、今なら4食イケると思うわ。腹減って仕方ないもん」
その身体じゃいくらなんでも食い過ぎだ。デブになっても知らないぞ。俺は唐揚げを頬張りながら話を聞く。ノリのマシンガンタイムが始まるからだ。
「それよりついに封印解除だよ。色欲の封印はどう解除されるのか楽しみで仕方ないな」
また来た。だがそれが聞きたかった。
「今夜は何時頃なんだ?」
「陽もついに興味を持ったか。今回は2時だな。徹夜決定だ」
「今回もイベントとかやんのかな?」
「いや、今回は無いが近いうちにどでかいサプライズがあるらしい。俺はもう申し込んであるが、倍率は今回も高そうだな」
どでかいサプライズ? 気になるが多分またライブか何かだろう。悠紀夫も告げる。
「俺も申し込んでみたけど行ければいいな。まだマスターを生で見たこと無いし」
虹江のお兄さんならそこまでめずらしい人でもない気がするが、多分これは実際に会ったことのある人との違いなんだろう。あの人も夢の世界に来ているようだが、あっちでは会った事が無いな。普通に考えれば現実でしか会わないのがまともなんだろう。俺は弁当の残りを食べる。柊は横でプラスチック製のシェーカーを振っていた。
「それ、プロテイン?」
「ああ、本条先輩が無いと不便だろうって昨日部活終わりにくれたんだ」
「ついでに俺の分ももらってくれよ」
「なら、今日聞いてみるよ」
あれなら飲みやすくなるんだろうか。なんにしても貰えたら得だ。柊はプロテインを飲み干すと容器を洗いに出て行った。悠紀夫とノリの2人は今夜のゲームの戦略を練っているようだ。色々専門用語が飛び交っているが意味は解らない。解るのは、アレに美弥子を混ぜたら危険そうなことだけだ。ボーっと見ていると柊が帰って来る。
「ただいま、そろそろ戻らないか? こんなに満員だと出るのも苦労しそうだぞ」
確かにそうだ。学食は超満員になっている、出口に殺到される前に出よう。クラスに戻ると悠紀夫はスマホを取り出ししきりにいじり始める。そんなに夢中になるものなのか?後ろから引っ張られる。
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