第10話 赤い髪、整った顔。
「そ、その髪……染めてるのか?」
俺の前でひざまづき、俺の手を握る黒髪美少女の山ノ井先輩に俺はそう尋ねた。
「……ど、どうして……何故わかったの? 高校では誰にも気付かれた事無いのに……」
驚いた表情で俺を見る先輩……やはり髪は染めていた……つまり……そうか……そういうことか……。
「──先輩……眼鏡を……取ってくれないか?」
俺はさらに自分の考えが合っているか確認する為に彼女にそう言った。
「…………はい?」
何故? という顔をし一瞬考えていたが……山ノ井先輩は俺の言う事に素直に従い眼鏡をそっと外した。
長い睫毛、美しい目鼻立ち……やはり似ている、いや似ているなんてもんじゃない。
「…………」
俺は暫く何も言わずにいた。
そして何度も何度も俺は山ノ井先輩の顔を隅々まで見た。そして、俺の予想が想像が合っている事を再確認した。
やはり……この人も妹だ、俺の元妹で間違いない。
性格は若干違うが、これも生活や現世での親の躾、育った環境で多少変化すると思われる。
前世での記憶……そして恐らく染めている髪。
決め手はやはり顔付きだ。
間違いない……俺の妹の、現世での記憶にそっくりだ。
ただ楓とは顔付きが若干違う……でもこれも説明が付く。
楓は妹が幼い時の顔付きに近く、山ノ井先輩は大人の時の顔付きに近い。
高校1年と3年の差……そして生活環境の差なのだろうか?
俺にとっても初めての出来事……何もかもわからないことだらけだった。
「敬さま?」
うるうるとした瞳で俺を見つめている山ノ井先輩……下級生にひざまづき、求愛しているこの状況をとりあえず止めさせねばと俺は肩を持ち立つ様に促した。
「失礼しました、眼鏡をかけて下さい」
俺はそう言って頭を下げた。
「どうですか? おきに召していただけましたか?」
手に持った眼鏡をかけ直し山ノ井さんは笑顔でそう言う。
「お気に?」
「はい! 私の顔は好みでしたか?」
「へ? いや、えええ?」
そんなつもりで眼鏡を取って貰ったわけじゃない……無いんだけど……そう言う目で見られているって事なのか……つまりは……。
俺は山ノ井先輩から視線を外し辺りを見回した。
そう俺は気にしない様にしていたが、ここは食堂、昼休み終わる直前とは言え、まだ周りには生徒が若干残っている……そしてその残っていた殆んどの生徒が異な目で俺達の事を……いや、俺の事を見ていた。
あーーあ、これでまたクラスが大騒ぎだ……。
楓の時もそれなりに騒がれたけど、恐らく今回はあれの比じゃ無いだろう……。
「あの敬様」
「いや、敬様はとりあえず止めて……止めてください」
「そうですか、では敬君、もうすぐ授業が始まりますので、放課後にまた」
「あ、ああ……うん……そうですね……じゃ、じゃあ」
そうして貰えると助かります……。
もう既に注目されちゃってるんだけど、一旦この場を去りたかった俺はそう言って、逃げる様に教室に戻った。
◈◈◈
そして……放課後……。
「先輩……このおばさん何?」
「敬君? このお子様とは、どういったご関係?」
「いや、えっと……」
放課後にまた、と言ったばっかりに……この二人が……俺の元妹二人が……俺の教室で、俺の席の前で、二人揃って、おれの前に立ち並ぶ事になってしまった。
いや、お前ら同一人物だったんだから……。
【あとがき】
期待していなかったんですが、思ったよりも読んで頂けてびっくりしております。(笑)
今度は公開停止にならない様に気を付けて、書きます(笑)
引き続き、応援よろしくお願いいたします。('ω')ノ
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