第88話 お願いは〜……

「楽しかったね〜!ファミレスであんなに楽しくしたの久しぶりだよ〜」


「負けたことを思い出しては暗い顔してこっちを睨んでくる2人の顔は傑作だったな。頑張ったかいがあったって思うな」


 ファミレスでのお祝い会?が終わり陽輝と翠は2人で帰っていた。4人が集まった後にまずは陽輝の1位を祝う言葉を3人から(2人は祝っていないような感じだった)伝え、次に翠のお祝いがあった。

 陽輝におめでとう!の一言を言うのに悠真は2分ほど、小珀は5分ほどかけて絞り出すように言ったおめでとうを陽輝はいやらしい顔でありがとう、と返した時は流石に翠もタチが悪い……と思ったらしい。


「あんまりいじめちゃだめだよ?陽輝が勝ったのはうちのおかげでもあるんだからね〜?」


「本当は否定したいんだけどな、翠に教えることで自分の復習にもなってたのは事実だからな。ありがとよ、翠」


「うむ、くるしゅうないぞ。そのまま続けても良いぞ?」


「歩きながらでいいならないいぞ……本当にいいのか?」


「うちは気にしな〜い!続けたまえ〜!」


 陽輝はお礼を伝えると共に頭を撫でていた。本来なら立ち止まって優しく撫でてあげるのが一般的なのだろうが翠は歩きながらで撫でてもらうことに満足感を得ていた。

 陽輝から翠へのスキンシップ自体がそもそも少なく、こうした些細なことでも翠からしたらとても嬉しいことなのだが当の本人は気がついていない。


 そんなこんながあり、気がつけば翠の家の前まで歩いていた。


「もう家か〜明日から部活もあるしもうちょっと一緒にいたかったなぁ……」


「まぁ、お互い全国があるし忙しくなるのは仕方ないだろ?一段落するまでは我慢だな」


 別れを惜しむ翠の気持ちがわからなくもない陽輝だが、お互い部活があり大会前だとわかっているため自らは引き止めるようなことは言わなかった。


「ねぇ、今日は走ったりする予定ある?」


「そうだな……家に帰って陽奈に夕飯作ったら走りに行くつもりだな。テスト期間は誰かさんにつきっきりで教えてたし身体動かしてなかったからな」


「一言余計だよ?!……うちも一緒に走ってもいい?」


「別にいいが……ペース合わせるつもりはないけど平気か?」


「多分大丈夫かな?だってテスト明けだからハードに走ることはないでしょ?」


「そうだな……普段よりは抑えてって感じだな。陽奈に夕飯作り終えたらメッセ送るわ」


 少しでも一緒にいたい翠は定期的に走っている陽輝と一緒に走ることにした。普段通りに陽輝が走ると付いていくことは困難だがテスト明けということもありついていけると考えたからだ。


「わかった!それじゃあまたあとでね?お願いも考えておくから!」


 走ることが決まった途端に家にすぐに帰ってしまった翠。バタン!ただいま〜……とドアの向こうから聞こえる声を聞いて陽輝は陽奈の待つ自宅へと帰路についた。








「さっきぶりだね、走りながら喋ろ〜?」


「いいぞ、それじゃあ走るか」


 あの後家に帰ったら陽輝はすぐに陽奈に夕飯を作り翠に連絡して翠の家の前に行った。普段走っているところでも良かったのだがそっちの方だと暗く慣れていないと危ないため街灯が多く走っても問題ない道を走るコースに変えた。


 走り始めて15分ほど経ってから、翠が声をかけた。


「あのさ……お願い決めたんだけど、いい?」


「ん?いいぞ?何がいい?」


「それじゃあ……」


 翠が少し黙ってから、答えた。


「恋人らしいこと……したいな」






















 読んでいただきありがとうございます。

 話が若干噛み合わないかもですが、よろしくお願いします。

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