第79話 暇
翌日、いや日が変わったあとと言った方が正しいだろう。家に帰った陽輝が起きた時間は珍しく昼間すぎぐらいだった。
あんなことがあったのですぐ寝ることができなかった、という事もあったがそれよりも大きかったのは試合の疲れがどばっと来たことだろう。
2試合行い、ゆっくり休む間も無く家でパーティ。そのせいで休む暇すらなく動き続けていたのでもちろん疲労が蓄積されていた。
そんな状態で疲れを取るために寝ればもちろん全ての疲れが取れるわけではなく———
「やっべぇ……身体痛ぇよ。動かしたら何処もかしこも悲鳴上げてるぞこれ……」
歩くので精一杯な状態になってもおかしくはなかった。他の人より肉体的にも精神的にも成長している陽輝とはいえ一年生。何処かではプレッシャーもあったはずなので普段より疲れてはいたはず。
本人は無駄な緊張を感じていたのか……と嘆きつつもまずはお昼ご飯を食べるためにリビングへと向かう。
リビングに行けば昨日のパーティの面影など全くなく、むしろ普段より綺麗であり、そんな中で陽輝は冷蔵庫の中身を使って軽く料理をして、一人で黙々と食べていた。
陽輝の母は仕事に行っているのでまぁいない。むしろ昨日みたいにいる方が珍しい。しかし陽奈は基本的には家にいる。だからこうして一人で家にいると陽輝は無性に寂しいと考えてしまった。
お昼を食べ終えたあと、家事を全て行っても時間が余る。その時間をどう使おうかと陽輝は悩んでいた。
「昼寝……はさっき起きたばかりだから流石に寝れないし、勉強もする気は起きないしな。とりあえずもう一回ストレッチでもゆっくりとするか……」
結局陽輝は昨日の疲れを取るためにゆっくりとストレッチをすることした。体全体を伸ばし、要所要所で揉んだり道具を使って伸ばしたりほぐしたりした。ただやはり時間は余るので悠真に電話することにした。
『————もしもし?どうかしたの?』
「暇だから電話した。今なんかしてるか?」
『さっきまで小珀にマッサージして貰ってたんだけどちょうど終わったところだったから暇だよ』
「羨ましいな……まぁいい。一緒にゲームでもしないか?」
『珍しいね……陽輝からゲームのお誘いがあるなんて。いいね、しよっか』
「たまにはいいだろ……佐藤さんはどうする?」
『小珀はこれからお出かけするって言ってたから来ないかな。たまには男子だけで集まろうよ』
「それもありだな。俺の方で二人声かけておけばいいか?それとも人をもう少し増やすか?」
『4人でいいよ、大人数だとまた迷惑だし。それじゃあ15時ぐらいでいいかな?』
「オッケー。じゃあまた後でな」
電話を切った後、陽輝はパッと二人に電話をして、二人から来れるというのを確認したあと、スーパーまで行ってお菓子を買って用意し、飲み物も少し用意して待つことにした。
だが家にあるゲームを見ると少し古いものが多いと感じ、急いで少し遠くのゲームショップへ自転車で行き、人気ゲームを二本購入して家までまた急いで帰った。その途中で悠真に出くわしたので、帰り道は自転車を降り悠真と話しながら歩く。
「お、陽輝。どこ行ってたの?」
「ゲームショップまで行って複数人で出来るゲーム買ってきた所。家にあるゲームが少し古いから、新しいものをな」
「別にそこまでしなくても……まぁいっか。それより誰を呼んだの?」
「陸部の山崎と、サッカー部の岡本を呼んだんだけど大丈夫だよな?」
「岡本君ならたまにお昼食べたりしてる仲だし、山崎君の方もよく話すから大丈夫だよ。あの二人何かある時って早め早め行動してるからそろそろ家に行っておかないと待ってるかもよ?」
「まじか、じゃあ急ぐぞ」
歩くのをやめ、二人で家へと向かえば、そこにいたのは先程話にも出た二人がいて、悠真の言う通り待っていた。
二人をすぐに家の中へ案内して、今日はゲーム三昧といこうと陽輝は心の中で密かに思った。
読んでいただきありがとうございます。
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