第74話 地球という名のダンジョン
「うぅ……」
目が覚めると、僕はどこか知らない所にいた。全く知らない天井が、僕の視界にひろがっている。
だけど、ここがどこかは分かる。だって、天井が意味不明の素材でできているから。
ここは、多分あの転移者の家の寝室かどこかなんだろう。
ウィーン……と、自動ドアの音。僕が眠っている部屋の扉が開いた。
すご……。なんで家に自動ドア……。お金を無駄に使っている気がするんだけど……。
「あっ、千尋くん。目が覚めたんだ」
「うん、おはよう、かな? ……あっ、そうだ、楓さん、あの人の攻撃で僕はその後どうなったかとか聞いてもいい?」
「おはよ〜。……まぁ、うん。今は、あの人のおかけで全回復しているの。それで、千尋くんがあの人に負けたときは、ろっ骨が折れていて、脳震盪を起こしていたの。結構きつい状態だったんだけど、でも、なにかあの人がすごそうなのをスキルで作って飲ませたら治ったんだけどね」
おかしいだろ。脳震盪とか起こっといて、なにかを飲ませただけでろっ骨も折れていたところが再生したり脳震盪が治ったりするはずがないだろ……。
「……そうなんだ。……あっ、聞きたいことがあったんだけど、あの時楓さんは何をしていたの? 急に力が湧いてきたんだけど。ドラゴンのときもそうだったんだけど」
「あっ、うん。それは私が急に変な声が聞こえて、そしたらなんか推しのための必勝祈願っていうスキルを獲得したからだよ。言ってなかったね……」
「……なにそれ、どういうこと?」
変な声……? もしかして、生への執着心のスキルを獲得したときと同じような声が聞こえたということなの?
「えーっとね。確か…… 《この地球の管理者が高木楓の願いを了承しました。大量の経験値を獲得しました。》っていったあとに、急にレベルがポンポン上がり始めて……」
「えっ……!? 今、なんて言ったの?」
「だから、 《この地球の管理者が高木楓の願いを了承しました。大量の経験値を獲得しました。》っていったあとに、急にレベルが上がり始めたんだ」
地球の管理者……。それは、悪魔に殺されそうになったときに考えた『地球自体がダンジョン化していて、モンスターが存在している。また、そのためにこの世界にはダンジョンマスター……つまり、この世界を操っている管理者がいる』という予想。
さっき、楓さんが言ったドラゴンを倒す前に聞こえたその声は、この予想が正しかったと言っているのに等しかった。
でも、多分異世界人とこの地球の管理者とは別のものなんだろう。そうじゃないと説明がつかない。だって、あの人を除いて異世界人が味方をしてくれるはずがない。手助けしてくれるはずがない。
……果たして、その地球の管理者は敵なのか、味方なのか。……でも、手助けしてくれるってことは、味方なのか、はたまた僕の行動を面白がっているか……ということなんだろうな。
はは……。……バカにしやがって。
……高みの見物か? それ、無しだろ……
「……まぁ、こうしていたら何かなるってわけでもないしな。楓さん、あの人のところへ行こう。とりあえず、これからの作戦を考えないといけないと」
「そうだね、いろいろと大変らしいし」
そうだ、ナビゲーター。これからのことなんだけど……
《…………。》
ナビゲーター、……ナビゲーター? なんで返事をしないの?
まったく帰ってこない。いつもなら、呼びかければすぐに答えてくれるはずなのに。それに、ナビゲーターは食事やら睡眠は必要なくて、いつでも反応してくれるはずなのに。
僕の質問とか言葉にすべて答えていくのは大変なのに、それを当たり前と考えてしまっていた部分はあるけれど、でもなにも答えなかったのはおかしかった。
《…………。》
…………ナビゲーター……?
なんど僕がナビゲーターのことをよんでも、なんの声も帰ってこなくて、周りから見るとただ頭のなかで叫んでいるみたいになっている。
「………っ! 《ステータス》」
すると、驚きのことが書いてあった。
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