第66話 魔法を使いたい!
「じゃあ、魔法を使えるように練習しますか」
《そうですね。じゃあ、まずは魔法を使えるようになるには……ということですけど、魔力は1以上あるのでいいですね。それで、追加で魔力感知や魔力操作というスキルを得ないといけません。》
うんうん、そこまではさっきに教えてくれたね。魔力というものがまだ全然よく分からないけど。
《まぁ……練習していたら分かるようになりますよ。それで、まずは魔力感知というスキルを得ましょう。魔力操作というスキルを得るには、魔力を感知できていることが条件ですから。》
ふむ……。っていうことは、魔力感知で魔力がどこにあるのかそれを感知して、それを魔力操作で操作して魔法を使う……っていうことかな?
《はい。そうです。すごいですね、君。この世界には魔法や魔力は幻想だと言われているらしいじゃないですか。》
まぁ、魔法というものが現実に存在していなくとも、幻想で存在してさえいればそれがなんなのかはよく分からなくとも、大まかなことは理解できるんだよね。
《へー、いわゆる中二病というやつですね。了解です。》
………………ねえ、やめて?
それはもうはるか彼方にある昔のことだから。ね? 過去なんて気にせずに未来だけを見てればいいんだよ?
《現実逃避ですか?》
……なんでもない。悪い?
《いや、別に。それでじゃあまずは魔力感知というスキルを習得してみようと思います。魔力の感じ方は……人それぞれです。だから、君は君なりの魔力というものはどんなものなのかを考えていけば感知できるんじゃないかと。》
それって簡単じゃない? 自分なりの魔力を簡単に想像できるようなものにしたらすぐに感知できるじゃん。
《いえ、それほど簡単ではありませんよ。まず、魔力があること自体を信じないと、感知できませんし。簡単な物に想像するとかであっても、それが魔力というものだと信じないと使えることはできません。》
へぇー……、まぁ、僕はこんなモンスターが存在するようになったり生活魔法があるから、魔法があるのは信じられるしその部分はいいね。
それで……うーん……僕が思う魔力とは……か。
ラノベで魔法使うために魔力とはどういうものか言っていたな……。確か……
血のようなもの……だっけ? 多分、血のように……っていうか、血を流れているところと同じところから体中を回っている……みたいな。
僕は、形から入るためにあぐらをかいて目をつぶり、手をその上に乗せる。座禅をくむといったほうが分かりやすいだろうか。
そして、身体の中に集中して目を向ける。
…………心臓の音しか聞こえない。血が流れているのは知っているけど……どこを流れているんだっけ? やば、できないかも……
そうだっ! これならなんとかなるかも。
《探知》
そして、対象を僕の中で流れている血にする。そうすることによって……
「……分かった。これか……」
血がどこにあるのか、見つけられる。
また、血がどこを流れているのか理解すると同時に、魔力の方も理解することができた。血のように流れているものを見つけたのだ。
これが魔力……か。なんだか温かい……
《スキルの熟練度が一定に達しました。》
《スキル 魔力感知が獲得可能になりました。》
……よしっ、じゃあナビゲーター。さっそく魔力感知をとってくれ。
《……相変わらずのはやさですね。はーい。》
《スキルポイントを1ポイント使用して、スキル 魔力感知を獲得しました。》
これで、魔力を獲得する、魔力を見つける…まではできるようになったね。次は魔力を操作できるようにする……か。どういうふうにすればいいのか教えてもらってもいい?
《はい、まぁ言い方がよくわからないんですけど、物を動かすように魔力も動かしてみてください。魔力は空気のようなものだと思ってはだめです。机とか消しゴムとか筆箱とか……そういうふうに実際に動かすことができるものだと考えるんです。》
ひぇー……。魔力を物体として考えるっていうことでしょ? ……僕は魔力を空気のようなものとして考えていたから……結構難しいかも……
そして、とりあえずもう一度座禅のようなものをくむ。そして……
《魔力感知》
さっそくそのスキルを使って、魔力がどこにあるのか分かりやすくする。
おぉ……! スキルをとっていないときと比べて結構きちんと分かる……! それに、自分の身体だけじゃなくて、この地球の空間のなかに存在する魔力も少ないけど見える。
《もともと、地球は魔力が存在していなかったようですよ。しかし、モンスターが存在するようになったと同時に魔力も存在するようになったそうです。》
へぇー……ってことは、魔力が少なく感じるのはそういうことか。まだ魔力が増えきれてないってこと……なのかな。
とはいえ、魔力をどのようにしてこの世界へと持ち込んだのか。というか、それ以前に、モンスターはどのやって地球に来たんだろう…………いや、考えるのはやめにしよう。答えには、辿り着けない。
で、これを操作しないといけないの……? 実物のないものを操作するのは難しい……
おりゃ! おりゃ!
とりあえず、心の中で叫んでみる。頭の中で、魔力が動いているのを想像しながら。
《……………中二病?》
………うるさい。そんなこと言わないでよ。どうすればいいのか分からないから迷っているんだよ。
《それにしても……おりゃって……おりゃって……ぷっ……クスクス…クスクス》
うるさーーいっ! 笑うな笑うな! めちゃくちゃ恥ずかしいんだから! せめて反応しないでくれよ!
……って、ナビゲーターと話している場合じゃなかった。はたして、どうすれば魔力を操作できるようになるんだろう?
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